一社歯科クリニック (名古屋市名東区／一社駅)
丹羽 英之 院長の独自取材記事
地下鉄一社駅の真北にあり、古くからこの地域に親しまれている「一社歯科クリニック」は、2代目院長である丹羽英之先生が、2009年にリニューアル。院内は、丹羽院長自らが選んだという愛らしいイメージのインテリアが多くおしゃれな印象。大学時代、日本拳法部で厳しい練習を行い全国大会で好成績を収めてきたという丹羽院長。その精神力と歯科に対する探究心を生かし、日本歯科専門医機構小児歯科専門医の資格を取得。審美歯科、矯正歯科にも力を入れており「治療には自信と責任を持って取り組んでいく」と話す。技工室には愛息の写真、スタッフルームには患者から贈られた写真や絵が飾られ、人とのつながりを大切にする丹羽院長の横顔が感じられる。
体と心の成長に合わせた口腔ケアを行う小児歯科
クリニックを継承した経緯を教えてください。
大学院に在籍中、部活の先輩の紹介で岡崎市の歯科でお世話になり、大学院では小児歯科の研究と診療、歯科では一般歯科・審美歯科診療を行っていました。私が博士課程を修了し、大学院を卒業する時期にそちらの院長から、分院長を担当してくれないかという話を頂きました。大きな信用を受け感謝するとともに、歯科技工士だった父からの「チャンスは誰にでもあるわけではないからやってみろ」という後押しで、院長を引き受けました。そこで、患者さまとの関わりの中で一般歯科医療について多くの知識や技術、開業医としての心構えを学びました。その後、このクリニックで院長をしていた私の伯父が、私立学校の理事長を兼任しており多忙だったため、伯父が院長職を退くと同時に当院を継承しました。
小児歯科を専攻された理由は？
学生時代の臨床実習で、小児歯科の分野に特に興味を持ちました。子どもから大人への成長過程を追い、口の中の発育変化を診るのが、歯科の中でも特異かつ重要な分野だと感じたのです。生涯の健全な口腔機能を維持する上で、そのスタートラインである小児期での適切なアプローチの有無で、その後の人生を左右するといっても過言ではないと感じ、また、虫歯治療のほか、歯周病治療、口腔外科治療、義歯、矯正治療、そして何より大切な予防歯科など複合的な要素を学ぶ必要があり、歯科医師としてのやりがいを大いに感じられる分野だと思いました。この理由で、小児歯科を専攻しようと決意しました。
子どもを診療する際どんなことを心がけていますか？
無理なく、恐怖心を与えない治療を心がけ、工夫しています。まず、治療中における歯科医師とスタッフからの声がけ。不安を感じないよう常に元気な声で話しかけ、励ましています。また、お子さまに対して痛いという言葉を使わず「大変なことがあったら教えてね」と伝えます。そして、できるだけ強く押さえつけることはしないようにしています。どうしても嫌なときは、説明や会話だけで治療は次回に、ということも。そうすることで、お子さまの気持ちを第一に考え寄り添うことができ、治療する歯科医師に対しての拒絶感が少なくなると考えています。身近なことから目標を設定しクリアすることで得られた達成感は、お子さまにとって大きな自信につながります。
専門的ケアで守る健康
先生が考える小児歯科の診療は、どのようなものですか？
お子さまの歯並びについてご相談があった際、治療開始前に改善するべき問題点がないかを診ます。不必要な歯がないかを調べる過剰歯の有無の検査、爪噛みや指しゃぶりのような悪習癖の改善指導などです。何らかの原因や悪習癖による歯並びへの悪影響があれば、いくら矯正治療を始めたとしても、根本的な改善は望めません。まず原因や悪習癖を取り除き、正しい口の動きや口腔環境にして、歯並びが改善するよう努めるのが大切。単に虫歯治療や矯正治療を行うだけでなく、成長に合わせた歯磨き指導、予防処置などを継続的に行っていく。それこそが、小児歯科診療において大切にすべきプロフェッショナルケアだと思います。
クリニックには、矯正治療専門の先生がいらっしゃるそうですね。
矯正治療の担当医として加古駿介先生に月に1度来ていただいています。矯正が専門である加古先生は、2020年9月より前担当医から引き継ぎ当院に勤務されている新進気鋭の矯正治療のスペシャリストです。真面目で誠実な人柄に私も大きな信頼を寄せています。スタッフからの信頼も大きく、最初の顔合わせの際での物腰のやわらかい自己紹介から引き込まれたようで、楽しくコミュニケーションが取れています。私としてはそんな光景がうらやましくもあり、ほほ笑ましく思っています（笑）。患者さまに対しても、話をしっかり聞き、無理のない体に優しい矯正治療を心がけてくれています。
口腔ケアのPMTCについて教えてください。
歯科衛生士など専門家による専用器具を使った歯の清掃のことです。ネバネバとした細菌の膜であるバイオフィルムは虫歯や歯周病の大きな原因。歯に固着して個人では落とせない汚れを除去するには機械的な清掃が必要です。また、歯肉マッサージやトリートメントも併せて行います。施術後は歯が本来の白さを取り戻すことや、口臭改善、歯肉の血行改善なども期待できます。当院では歯のエステと呼んでおり、リラクゼーション感覚で臨めて気持ちがいいと思いますよ。PMTCは健全な口腔内環境を維持する上で、予防の面でも非常に有意義だと考えています。
清潔と健康を第一に考えた歯科治療
院内では感染対策や健康に配慮した衛生管理が行われていると伺いました。
治療で使用した器具は超音波洗浄を行い、高圧蒸気で殺菌・高圧蒸気滅菌で消毒を毎回行います。歯を削るタービンは血液や唾液を吸い込む可能性があるため、患者さまごとに滅菌を行うなどの対策をしています。紙コップやエプロン、注射針、歯ブラシなどは、1回の治療ごとに使い捨てるディスポーザブルタイプのものを使用。使用済みのものは速やかに廃棄しています。また、空中に飛ぶ粉塵を吸引するために口腔外バキュームも。患者さまの処置をする際や、技工室で金属を削るときなどに活用することで、浮遊する金属や歯の粉塵はもちろん、ウイルスや細菌の除去が図れます。このように開院当初より変わらない徹底した衛生管理、CT撮影により高度な画像診断が可能なハイスピードで低被ばく量のレントゲン撮影装置、また万が一のためのAEDの設置など、どんなときでも安心して来院できるような環境づくりを心がけています。
先生が技工にあたることのメリットはなんでしょう？
私が技工にあたることで、患者さまの急なトラブルに対応できます。例えば、割れてしまった義歯の修復で来院された際、外注すると数日必要なところ、即日すぐに直してお渡しできますのでご相談いただければと思います。また、合わない修復物や義歯を調整する際発生する音やにおい、粉塵が飛び散ることで患者さまに不快感を与えないよう技工室を使用。技工室でも、口腔外バキュームを使用し粉塵が空中を介して診療室まで飛散しないよう配慮し、院内の空気清浄を心がけています。分煙の風潮が高まっているように、歯科医院においてもクリーンな環境整備に技工室の存在は一役買っていると思います。
先生は毎朝、クリニック周辺の掃除を欠かさず行っているそうですね。
私の性格を一言で言うと、自他ともに認めるきれい好き、ですね（笑）。診療開始は朝9時からですが、毎朝7時には出勤しクリニックから一社駅までの周辺を掃除しています。人を健康にするための歯科医院の前が汚れている、というのはよくありませんからね。休診日でも、毎日ほうきを持って掃除をします。地域の方からは「掃除の先生」と呼ばれていますよ（笑）。通りすがりの患者さま、駅に向かう方、近隣の住民の方に声をかけていただくことも多く、地域密着型クリニックをめざす上で、良き憩いの場となっています。もちろん院内の清掃も、朝の診療前、午後の診療前、診療後としっかりと時間をかけて行い、常にクリーンな院内環境を維持できるようにスタッフ共々努めています。
今後の展望について教えてください。
私は日本歯科専門医機構小児歯科専門医資格を取得しています。今後も小児歯科診療に対してより一層真摯に向き合い、一人でも多くのお子さまの笑顔を見ることができるよう努力を重ね、研鑽を積んでいきます。もちろん成人における一般歯科、口腔外科、審美歯科等もこれまでどおり行っております。責任と自信を持って患者さまの治療に取り組んでいくことをお約束させていただきます。
