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浅野 嘉雄 院長、浅野 正直 副院長の独自取材記事

浅野医院

(葛飾区/金町駅)

最終更新日:2021/10/12

浅野嘉雄院長、浅野正直副院長 浅野医院 main

JR常磐線金町駅北口より徒歩8分。大通りから道路を1本奥に入ると「浅野医院」が見える。閑静な場所に浅野医院が開業したのは1962年。すでに半世紀以上前というから驚きだ。当時は浅野嘉雄院長が地域医療の中心となり、外科手術もすべてここで行ってきたという。87歳になった今でも日々の診療の他、10件以上の往診を担当するなど、第一線で活躍し続ける。副院長の浅野正直(まさなお)先生は、浅野医院を含め3つの病院で診療する忙しさだが「院長の姿をみていると自然に今の形になりました」と笑う。 現在は内科を中心に外来の小手術も行っており、親子で力を合わせて地域医療に貢献している。そんなお二人に昔の思い出から今後の展望まで様々なお話を伺った。

(取材日2014年9月12日)

52年もの長い歴史の中で、地域の人々を支え続けてきたクリニック

こちらはたいへん歴史のあるクリニックだとお伺いしました。

浅野嘉雄院長、浅野正直副院長 浅野医院1

【嘉雄院長】開業したのが1962年ですので、もう52年前になります。昔はこの辺り一帯は田んぼしかなく、駅まで見渡せるほど何もないところでした。当時は入院設備もありましたが、入院患者さんから蛙の声がうるさくて眠れないと言われたほどです(笑)。入院する方のことを配慮して、道路沿いではなく少し中に入った静かな場所を探し、ここに決めました。とにかくがむしゃらにやってきました。以前は順天堂大学と目黒の病院に勤務していたのですが、そこは企業の工場とほど近く、一日に10件も救急車が来るような場所でした。そこで外科医としても研鑽を積み、現在の医院を金町に開業したわけです。脳外科、消化器内科、婦人科など様々な症状の患者さんの診療をして、手術をこの医院で行うことも少なくありませんでした。また、ここに来た患者さんがなるべく他の病院や診療科に行かなくて済むよう、外科に限らず内科も含めてとにかく様々な領域の勉強をしてきました。葛飾区は医師会の活動が盛んで、そのつながりで勉強会も熱心に行われていたんです。そうして得られた知識と経験は地域のかかりつけ医として患者を幅広く見るうえで、今でも非常に役に立っていると思います。

現在はどのような体制で、どんな患者層を診ていらっしゃいますか。

【正直先生】時がたち外科医療が進歩するとともに、大掛かりな手術、入院が必要な患者さんは大病院に任せ、当院では内科を中心に、怪我や爪の処置などの小手術を外科として行うようになりました。整形外科なども含めて基本的にはどんな症状の方が来られても初期対応は可能です。内科は血圧などを心配するご年配の方が多く、逆に外科は怪我をしたり切ってしまったりと、若い方が多いです。私は今現在順天堂大学病院と東部地域病院に勤めていますので、浅野医院では週に2日診療を担当しています。高度な治療が必要と判断した場合は信頼できる病院や通院に便利な近くの診療所の先生に紹介しています。
【嘉雄院長】往診も行っています。定期では数件のお宅へ伺っています。あとは緊急の電話があれば夜中でも対応していますよ。今は車で行こうにも路上駐車の取り締まりが厳しくなりましたので、自転車をこいでいくのがほとんどです(笑)。

院長先生はとてもお元気でいらっしゃいますが、秘訣は何でしょうか。

浅野嘉雄院長、浅野正直副院長 浅野医院2

【嘉雄院長】今年で87歳になりました。健康法は歩くことでしょうね。足は第2の心臓と言われているくらいですから。歩いたり、自転車で出かけたりして現役でいることが元気の秘訣ではないでしょうか。夜中に「めまいがひどい」と電話がかかってきて往診に出かけると、私の顔を一目見て「治った」とおっしゃる患者さんがいらっしゃいました。今は家族の数が減り一人暮らしの方も多いので、やはりさびしい気持ちがあったのだと思います。患者さんのためにも私はまだまだ元気でいなければいけませんね。

病気そのものよりも、病気にならないためにどうするかを考える医療に大きな関心

正直先生のご専門分野について教えてください。

浅野嘉雄院長、浅野正直副院長 浅野医院3

【正直先生】糖尿病、甲状腺、膠原病(こうげんびょう)、リウマチなどの内科全般の総合内科が専門です。順天堂大学を卒業後、長く大学病院で研究と臨床を続けてきました。研究を続けてきたのは病院やクリニックで診療するにしても、なぜ病気ができ、どうするのが一番いいのかを深く理解しておいた方がいいと考えたからです。また、ある程度成果も出てアメリカの病院で5年間も働く機会がありました。そこでは世界中から集まったメンバーと厳しくも充実した研究をして、アメリカの医療を間近にみることができました。ヨーロッパから来た仲間とも話し、世界の医療事情を肌で知ることができました。そこで感じたことは、日本の医療は決して劣っておらず、世界のトップクラスにあるという強い思いでした。そんな日・米・欧の良いところをできるだけ取り入れて浅野医院でやっていければと思います。

先生が医師になられたきっかけを教えてください。

【正直先生】子どもの頃からここに住んでいましたので、父が診療し、手術をし、往診に出かけていく姿を毎日見てきました。そして父の仕事が患者さんにとても喜んでいただいているのを感じていました。ただ、素直に医学の道へ進むことを決意したかといえばそうではなく、高校生の時は医学部に行くかどうか非常に悩んだというのが本音です(笑)。他に進みたいと思う道もありましたし、年頃でしたので「医師にはなりたくない!」と反発したこともありました。とても悩みましたが、考えてみるほど、医療というのは様々なやり方や楽しさがあり、人と直接関わって病気を治し、喜んでいただけるのがとてもいいなと思いました。科学的なことも好きでしたので、病気を研究し、その結果を誰かに還元し、また喜んでいただけることが嬉しいと思い、それらの気持ちが決め手となって父と同じ順天堂大学の医学部へ進みました。

お父様は外科医ですが、正直先生が内科医を選ばれたのはどんな理由からでしょうか。

浅野嘉雄院長、浅野正直副院長 浅野医院4

【正直先生】僕も外科医になろうと思ったこともありました。ですが、父の時代と今はまた違います。高度成長期の頃は、ここのような診療所で手術まで行うのはそんなに珍しいことではなく、思う存分腕をふるっていたそうです。当時はそれが当たり前でしたが時代がたつにつれて、高度な医療機器を使用したより安全な手術方法が確立され、次第に個人で対応できる時代ではなくなりました。また、僕は研究など現象、病気を根本的に考えるのが好きなことがあり、時代の流れも考慮した上で内科医になることを決めました。父とは同じ患者さんの話をする際に内科的な観点と外科的な観点から話しができますので、違いがわかって勉強になりますし、楽しくもあります。

地域の皆様には、いつまでも院長のように健康で元気でいてほしい

今後の展望をお聞かせください。

浅野嘉雄院長、浅野正直副院長 浅野医院5

【正直先生】一時は大学病院や地域の基幹病院に残ろうかとも思いました。今後は浅野医院を続けていくにあたり、父から僕へスムーズに移行して患者さんが不安になることのないようにしていきたいと思います。時代の流れと共に変わっていく医療や診療所のあり方に遅れをとらないよう、時代のニーズ、患者さんの必要性に合わせた診療をしていきたいですね。専門以外の症状で来院されても基本的には対応できるようにしています。ですが、一人で何でもできる訳ではないので、自分が対応できない場合の信頼できる紹介先をある程度確保しています。そして患者さんがリラックスして待っていただけたり、お話しできるよう、環境を改善したいとも考えています。ご年配の方のためのリハビリ器具も入れられればと思っています。地域の皆様にはできるだけ健康でお元気でいていただきたいので、これからは浅野医院を中心に父とともに頑張っていきたいと思います。

地域のかかりつけ医として、どのようなことを重視されますか。

【正直先生】現在の病状や症状を良くすることはもちろんですが、予防医学に力を入れていきたいと考えています。病気というものはある日突然起こるように見えます。しかしそんな病気も、実はそのずっと前から体内で少しずつ変化があり、次第に進行し、最後に症状として出てしまったのです。自分では健康であると思っていても、病気に気がつかないことは多いのです。こちらがプロとして診ることではじめて分かる徴候もあります。また、最近では優れた検査によっても隠れた病態を見つけることもできます。大きな病気になってしまう前に、当院で何か対処できればと思っています。

最後にドクターズファイルの読者へのメッセージをお願いします。

浅野嘉雄院長、浅野正直副院長 浅野医院6

【正直先生】実は老化は20代の若いうちから少しずつ始まっています。スポーツ選手が毎日あれだけのトレーニングをして、食生活や健康に気を配っていても30代を過ぎるとだんだん衰えてくるくらいですから、一般の方の老化のスピードはもっと速いと思っていいでしょう。スポーツ選手は実績で比較できますが、一般の方は気がつかないだけなのです。高齢になってもお元気な人は、やはり若いうちから生活に気を配っていると思います。一つの例がうちの院長で、87歳になった今でも現役で働いていますからね。散歩やハイキングのほか、自分で車を運転して小旅行へも出かけていますし、必要な薬はしっかり内服しています。予防の大切さを話すときに、患者さんには身近な例として院長の話をよくしています(笑)。悪くなってからではなく、元気なうちから必要な医療や生活習慣に気をつけることで将来大きな差が出ます。小さなことでも何でも、お力になれればと思いますのでいつでもご相談ください。
【嘉雄院長】息子が跡継ぎしてくれて幸いです。愚息は糖尿病や甲状腺、膠原病、リウマチなどを専攻してきました。この医院でもますます充実した診療ができるかと思います。アメリカではScience誌に論文が載りました。どうぞ今後もよろしくお願いします。

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