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有田 浩一朗 副院長の独自取材記事

有田歯科医院

(北区/赤羽駅)

最終更新日:2022/07/11

有田浩一朗副院長 有田歯科医院 main

赤羽駅から徒歩2分の「有田歯科医院」。広々とした院内は開放感にあふれ、木目素材が随所に使われくつろげる雰囲気だ。「私自身、学生時代に歯列矯正を受けているため、患者さんの気持ちがよくわかるんです」と語るのは、小児矯正を得意とする有田浩一朗副院長。研究発表に積極的で、審美性のみならず機能面にも着目した治療法を取り入れ、子どもたちの口腔環境を正常な状態へと導いている。明朗快活で、エネルギッシュな印象の有田先生に、同院が推奨する矯正法や診療ポリシーについて詳しく語ってもらった。

(取材日2021年7月6日)

小児矯正の最大の目的は、見た目ではなく機能

こちらで多く手がけている小児の矯正治療において、大事なことは何だとお考えですか?

有田浩一朗副院長 有田歯科医院1

単に歯並びを整えるだけでなく、「睡眠と呼吸に主軸を置いた矯正」が小児矯正においては大事だと考えています。実は歯並びや口腔環境というのは、お子さんにありがちな口呼吸やうつぶせ寝、睡眠時の無呼吸と深く結びついているんです。これらの症状を改善させ、QOLを向上させることが、当院で実施している小児矯正の最も大きな目的といえます。また、見た目に関しても、歯が整っていないことがいけないのではなく、歯並びが悪いことで受け口になったり、歯茎が見えたりと、顔の形や表情にまで影響を与えてしまうことが問題なのです。こういった現象は、永久歯が生えそろう前に整えることが非常に大切。当院では「顎顔面口腔育成」と呼ばれる、顎の骨格からアプローチする方法を実践しています。

顎顔面口腔育成とはどのようなものなのでしょうか。

6~8歳のお子さんに行うことが多い施術で、顎や顔面全体の骨格を正しい位置、あるべき方向へ導いていきます。やわらかい食べ物中心の食生活や運動不足により、顎の発育が不十分となってしまうのが最近のお子さんの特徴です。顎の発育が不十分だと、歯が顎の中におさまりきらず出っ歯や受け口になってしまいますし、舌が下がって気道が確保できなくなりかねません。抜歯はせず、取り外し可能な装置やヘッドギアを使いながら、数年かけて取り組むことが一般的です。主に顔の真ん中、上顎や頬の骨辺りの中顔面をターゲットに口腔育成を促します。

従来の歯列矯正とは何が違うのでしょう。

有田浩一朗副院長 有田歯科医院2

従来の矯正方法と最も異なる点は、「軟組織に着目した治療」ということです。軟組織とは、舌や筋肉といった、歯の並びに関係する顎骨形成の方向性を決めるもの。歯並びは、噛む力の不足、咬筋の筋力低下、顎の骨の変化、歯列への影響という順を追って悪くなります。従来の矯正の診療では、軟組織や呼吸の改善までを視野に入れた発想や手段があまりなく、歯を並べることが大前提でした。そのためこれまでは、健全な永久歯を抜いて歯を並べるためのスペースを作り、顎に抑制的な力をかけて成長を抑えて上下の顎とバランスを取るといった方法が主でした。しかし顎顔面口腔育成においては、歯列不正は中顔面の骨が下方へ垂直的に発達する歪みにより引き起こされると捉えます。そこで、歯並びを悪くさせている口腔周囲の骨格や筋肉の改善をめざすのです。

正しい呼吸法を習得してもらうために

呼吸にも大きな影響を及ぼすんですね。

有田浩一朗副院長 有田歯科医院3

はい。最近のお子さんは口呼吸が多いため、そうなると睡眠のいびきなどにつながりかねません。当院が実践している中顔面の正しい成長育成を促す方法は、健全な呼吸を身につけることが目的です。健全な呼吸とは鼻呼吸を指します。鼻呼吸の獲得は全身の健全な発達に欠かせません。顎顔面を含めた口腔を育成していくことで鼻呼吸がしやすい状態をめざします。そのためのアプローチ方法は2つあります。これらの特徴は、歯列の不正を単なる口腔内の問題としてでなく、全身の疾患の一部として捉えるところにあります。

その2つの矯正法について教えてください。

一つは、イギリスのジョン・ミュー歯科医師によって提唱された概念および矯正法で「自然成長誘導理論」に基づいています。通常の歯列矯正と決定的に異なるのはその対象で、歯だけを動かす従来の歯列矯正に対し、こちらは気道にも関わりがある顔面骨格に対する矯正法です。2015年には、笑うと歯茎が大きく露出する「ガミースマイル」の患者さんの例も報告されています。具体的には、第二乳臼歯を利用して顎の骨にアプローチします。第二乳臼歯の状態が不十分だと理想的な矯正が行えませんから、少し前までは、6〜7歳、遅くとも8歳くらいまでに開始するのが適正とされていましたが、最近は装置の開発が進み10歳くらいのお子さんでも受けられます。また、場合によっては成人の方にもこの装置を使用することが可能です。

もう一つの矯正法はどのようなものですか?

有田浩一朗副院長 有田歯科医院4

もう一つは、ジョン・ミュー先生が提唱した理論を日本の三谷寧博士がさらに進化させた矯正法です。実際に使用するのは、顔面に外側から装着する装置。「中顔面(ちゅうがんめん)」を前方方向に成長させるよう促すという理念は、先述した自然成長誘導理論に基づいた矯正法と同じですが、さらに直接的に骨にアプローチできると考えられています。以上2つの矯正法のどちらを行うかは、症例によって異なります。

専門分野の研究会などでの情報収集にも積極的でいらっしゃいます。

ここ10年以上は毎年研究結果などを発表し、顎顔面口腔育成研究会では理事を担当しています。顎顔面口腔育成は海外ではかなり浸透しているのですが、日本ではまだ知名度が低いのが難点。輪郭が丸みをおびていて、生活習慣的にもやわらかい食べ物を好む日本人に適した治療法だと考えているのですが。理事として研究会をけん引し、矯正法の普及に努めていきたいと思っています。ただ大人の治療よりも難しい技術が必要なため、私自身も研究会などへ参加を通じて勉強を継続していかなければならないと痛感します。

質の高い小児矯正を、万全な体制で提供できるように

浩一朗先生以外にも小児歯科専門の先生が所属されており、手厚い医療体制を整えていますね。

有田浩一朗副院長 有田歯科医院5

もともとは私一人で小児矯正を行っていたんですが、お子さんの歯に対して保護者の方の意識が高くなっている最近の傾向もあり、かなりニーズが高くなってきたのです。また横浜の歯科医院で院長を務めているため、両院で治療を並行して行うには限度もあり、小児歯科専門の先生に来ていただくようになりました。私の学生時代の知り合いということもあり、信頼もしていますし、大学病院で活躍されるほどの技術や知識をお持ちです。技工所も併設しており、専門の歯科技工士さんもいらっしゃいます。また小児矯正はいびきや呼吸との関わりが大きいことから、耳鼻科や睡眠専門クリニックとの連携も盛ん。体制を整えてお子さんの診療にあたっています。

子どもの矯正はどんなところに配慮されていますか?

矯正は長期にわたる治療です。ですのでお子さんの場合はなるべく飽きずに矯正に臨んでもらえるよう努めています。顎顔面口腔育成では、少なくとも2ヵ月はモチベーションを保てるよう工夫しています。例えば、装置を製作する上で行う歯の型採りでは、味があると気分転換になると思い、フレーバーつきのものを使用。装置のカラーもピンクや緑など好きな色を選べます。当院には「抜歯をせずにどうにかなりませんか」「外科手術をしない方法はありませんか」など最後の砦のようにご相談にいらっしゃることもあるんです。だから親御さんやお子さんが持つ矯正に対する恐怖心や不安を少しでも軽減できるようにお迎えしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

有田浩一朗副院長 有田歯科医院6

歯は一生使うものであり、年齢や使い方に応じて絶え間なく変化しているものです。だからこそ全身との関わりが密接で「歯並び」だけを抽出して評価することはしません。歯並びを支える顎の骨があり、それを取り巻く筋肉があり気道があります。表面的な「歯並びの良さ」も大切ですが、歯並びが悪くなっているのはなぜか、どこに問題がありどのような影響を体に及ぼしているのかをよく考えて、お口の中だけでなく体全体を通してお子さんの健康を考えてください。大切なのは、全身の健康であり、それを支える体の機能。健やかな発達を促し、末永く健康でいるためには、正しい呼吸や姿勢が大切であるということをお伝えできればと思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

スライド式の義歯/40万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/86万6200円~、小児矯正/63万5200円~、顎顔面口腔育成/115万5000円~(小児矯正に関しては症例によって異なるため、要相談)

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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