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藤島 明 院長の独自取材記事

藤島歯科診療所

(杉並区/荻窪駅)

最終更新日:2021/10/12

藤島明院長 藤島歯科診療所 main

荻窪駅から住宅街のなかをしばらく歩くと、大きな一軒家が見えてくる。藤島明院長の自宅の1階を歯科医院として開業した「藤島歯科診療所」。診療所のなかに入ると、予想以上に広々としたロビーに驚かされた。HPI(ヒューマンパフォーマンス研究所)グループが提唱するビーチシステムを採用した診療所内は、患者と歯科医師の双方が快適に過ごせる診療空間を実現。患者がリラックスして治療を受けられるようにチェアではなく、フラットユニットを配した診療スペースは、歯科医院とは思えない落ち着きのある空間となっている。ユニットの周りには歯科医師とアシスタントが効率よく動けるように椅子や治療器具が配備され、無駄のない診療ができるように計算されている。そんなビーチシステムの話題から始まった今回の取材。診療方針からブラッシング法、そして趣味の話に至るまで、長時間にも関わらず、藤島院長は最後まで丁寧にお話くださった。

(取材日2013年1月17日)

水平位診療で患者への負担が少ない治療を提供

歯科医師をめざしたきっかけ教えてください。

藤島明院長 藤島歯科診療所1

父親が眼科の開業医だったので、幼い頃から医療の道に進むことはなんとなく考えていました。医師の中でも歯科医師を志したのは、歯周病などの口腔外科に興味があったからです。ですから、高校卒業後は歯科医師をめざして日本歯科大学に進学しました。大学では正直なところ、あまり熱心に勉強しなかったですね(笑)。でも、口腔外科の分野には引き続き興味があったので、卒業後は歯周病治療の臨床経験を積むために東京慈恵会医科大学の付属病院に入局しました。同院には約10年間在籍したのですが、その間に口腔解剖学を熱心に学び、母校である日本歯科大学から声がかかって、口腔解剖学の講師を務めるようにもなりました。今でも日本歯科大学での講義は続けています。

開業までの経緯を教えてください。

開業は東京慈恵会医科大学に入局した当初から考えていました。開業するなら地元でと思っていたので、場所は今のところとは違うのですが、1983年に荻窪で開業しました。こちらに移ってもう6年ぐらいですね。開業するにあたって影響を受けたのが、HPIグループの治療方針です。HPIグループは、WHO顧問も務めたDr. ダリル・R・ビーチ先生の考え方に基づき、より良い歯科医療を研究する団体です。東京慈恵会医科大学にいた頃はさまざまな講習会や勉強会に参加していたのですが、そのなかの一つにHPIグループの講習会があり、そこでビーチシステムに出会ったんです。当院では現在も、HPIの治療方針に基づいたビーチシステムによる治療を行っています。

ビーチシステムとはどのようなものですか?

藤島明院長 藤島歯科診療所2

ビーチシステムとは、Dr.ダリル・レイモンド・ビーチが提唱した歯科診療システムです。患者さんが治療を受ける上でもっとも楽な受診体位であるフラットなユニットによる水平位診療が基本で、必ず4ハンド、つまりアシスタントをつけて治療を施します。また、診療所内の配置も効率がいい治療が施せるようにすべて考えられて設計されています。日本らしい落ち着いた雰囲気を出すためか、パーティションには障子が一部取り入れられているんですよ。しかし、ビーチシステムで治療効果をあげるにはアシスタントがしっかりとサポートできる技術が必要になります。そのため、最近では歯科医師のなかでもビーチシステムを採用している方は少なくなってきましたね。私も初めの頃はずいぶん戸惑いましたが、HPIの講習会で意見を交換しながら練習を重ね、少しずつ慣れていきました。今では普通のチェアユニットで治療するほうが難しいと思います。初診の方には驚かれますが、患者さんにはリラックスできると好評なんですよ。

抜かずに改善を促すクリーニングを重視

どのような患者さんが多いですか?

藤島明院長 藤島歯科診療所3

場所が住宅街ということもあって、患者さんは近隣にお住まいの方がほとんどです。年齢層としては40歳以上の方が多いですかね。もちろん、小児歯科も標榜しているのでお子さんもいらっしゃいます。お子さんの場合は親御さんにブラッシング方法を説明して、虫歯になりにくい歯にするためのアドバイスなども行っています。例えばフッ素をお子さんの歯に塗れば、歯磨きは疎かにしていいと考える親御さんがたまにいらっしゃいます。ですが、やはり基本は毎日のブラッシングです。また、よく噛んで食べれば顎が発達し、歯並びをそろえる効果が期待できます。このような、お子さんの歯に関する話をできるだけ丁寧に説明するようにしています。大人の患者さんで多いのは歯周病ですね。私が口腔外科を専門にしてきたことから、クチコミでご来院いただく患者さんも増えてきました。

歯周病の治療の際にどのようなことを意識して取り組まれますか?

歯周病といえばすぐに歯を抜いてインプラントいう歯科医院もあるようですが、私の場合は抜かずにクリーニングによる治療を優先しています。重症度にもよりますが、クリーニングだけで改善されることが非常に多いですね。クリーニングではブラッシングに時間をかけ、プラークをガリガリと削り取るのではなく、痛くないように丁寧に少しずつ剥がすようにしています。場合によっては30分以上かけてブラッシングすることもあるんですよ。また、当院では洗浄液に水素水が入ったものを使用しています。この洗浄液を使うとプラークの質が変わって、歯への付着を軽減させる効果が期待できるんです。このように少し時間はかかるのですが、抜かずにクリーニングによる治療を歯周病の患者さんにはお薦めしています。

治療にあたって心がけていることは何ですか?

藤島明院長 藤島歯科診療所4

患者さんのためにも「削らない」「神経をとらない」「抜かない」の3つを常に心がけた治療を行っています。先ほども申しましたが、歯周病の場合は抜歯をしなくてもクリーニングだけで改善させることが可能です。ですから、インプラントもほとんど行いません。先日、定年を迎えられた患者さんでもう何十年も当院へ通ってくださっている方が、「歯を抜かずにここまで頑張れました」と喜んでくださいました。そういう声をいただくとあらためて自分の歯で生活することの大切さを感じますね。また、ブラッシング指導に関してもほかの歯科医院と全然違うという声をたくさんいただきます。ご自宅でのケアが虫歯や歯周病予防には欠かせませんから、丁寧に指導しています。これからも「削らない」「神経をとらない」「抜かない」の3つにこだわった治療を続けていきたいと思います。

一生、自分の歯で食べることの大切さを伝えていきたい

貴院のブラッシング指導はどのようなものですか?

藤島明院長 藤島歯科診療所5

ブラッシング指導では、体で感覚を覚えるまで何度も繰り返し磨いていただきます。頭だけで理解しても、ご自宅に帰ってからできなければ意味がないですから。歯の磨き方は一人ひとり個人差があって、同じように磨いても効果は違います。そのため、まずは自分の磨き癖を知ることが大切なんです。磨き癖を知ればいつも磨き残すところがわかります。そこを意識しながら磨くようにするんです。最近は電動歯ブラシが主流になってきましたが、毛先が硬いものはあまりお薦めできません。歯を磨くときに大切なのは歯と歯茎の間、いわゆる歯周ポケットと呼ばれる部分に毛先が入り込むことです。毛先が硬いとそこまで届かないんです。ですから、歯ブラシはできるだけ毛先が細くて長く、柔らかいものを選ぶのが好ましいですね。電動でも最近は小さくて細かい隙間まで届くものが開発されました。ご自分の好みに合わせて、ぜひ使いやすいものをぜひお選びください。

休日の過ごし方や趣味があれば教えてください。

趣味はゴルフと釣りです。自分のなかでブームがあって、ゴルフのときはゴルフばっかり、釣りのときは釣りばっかりしています。今は釣りにはまっている時期なんですよ。釣りは子どもの頃にやってましたが、本格的に始めたのは自分の子どもができてからです。知り合いに釣り好きが多くて、いろいろ教えてもらいながら子どもと一緒にやっているうちに自分のほうがはまってしまいました(笑)。今はおもにバス釣りをしています。あとは休日といっても大学での講義があるので忙しくしていることが多いですね。講義は年間に10回くらいですが実習もあります。あとは健康維持のために散歩をしているぐらいですね。毎日じゃないですけど、時間ができれば近所を歩くようにしています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

藤島明院長 藤島歯科診療所6

読者の皆さんには、まずは自分の歯を残すこと、そして、最後まで自分の歯を使えるようにすることを第一に考えていただきたいですね。患者さんのなかにはすぐにインプラントがしたいという方もいらっしゃいます。しかし、そういう方はご自分の歯が抜かれるということをあまり意識されていません。実は今、老人介護の現場でクローズアップされているのが、インプラントの問題なんです。歯がぐらぐらになってもインプラントだと簡単には抜けません。でも、そのまま放っておくと噛む力が弱くなり、食べ物のカスが気管にはいって誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こすこともあるんです。ですから、簡単に歯を抜くのではなく、クリーニングによって歯をよみがえらせることをまずは考えてみてください。当院ではこれからも「削らない」「神経をとらない」「抜かない」を念頭に、地域の皆さんの歯の健康を守るお手伝いをしていきたいと思います。

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