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大高 至 院長の独自取材記事

大高歯科医院

(文京区/御茶ノ水駅)

最終更新日:2021/10/12

大高至院長 大高歯科医院 main

御茶ノ水駅から徒歩4分、「サッカー通り」と命名された通り沿いに20年前に開業したのが「大高歯科医院」だ。新しい技術の習得は開発者自身に学んでこそ意味があると考え、積極的に海外研修にも参加しているという。また、予約が取りにくいということでも知られているが、「そんなことはない、要領が悪いだけなんです」と謙遜された。滅菌環境や患者の計画的な治療を優先すると、あまり多くの人を見ることは難しいということが理由だそう。取材をことごとく断り続けてきたそうだが、今回、昨年末にお亡くなりになられたブローネマルク先生への哀悼の意を掲載していただけるならば、という条件でお引き受けいただけた。「我々インプラントジストは、彼がいたからこそ成り立っています」と語る大高院長に、開業からこれまでの歩み、歯科医療にかける思いや今後の抱負など、たっぷりとお話を伺った。

(取材日2015年1月23日)

長年通い続ける患者が多いことが一番の特徴

今年で開業20年だそうですが、開業までの経緯を教えていただけますか?

大高至院長 大高歯科医院1

私は、歯学部の学生の頃から当時のナソロジー学会の先生方のところへ、暇さえあれば行っていました。様々な先生の元で学ばせていただき、卒業後に最初に勤務したのが、高度先進医療に対して積極的な取り組みを行っている歯科医院でした。そのため当時日本ではまだ普及の途上にあったインプラントや歯周外科などさまざまな先進医療に触れて経験を積むことができたのですが、指導をしてくださっていた先生が独立されることになり、私も誘われて勤務先を移しました。そちらでも引き続き一般歯科だけではなく、先進医療についても多くの症例を経験させていただいたのですが、歯科医師としての経験を積んでいく中で、自分なりの歯科治療に対する考え方や患者さんに対する思いがどうしても芽生えてきました。そこでちょうど20年前に、自分の想いを形にしたいと思い、開業を決めました。

開業の地を御茶ノ水にされたのはなぜでしょうか。

開業すると決めてから、半年ほどだったと思うのですが、当時の院長が、「自分の担当している患者さんは一緒に連れて行きなさい」という太っ腹の方だったので、今まで見てきた患者さんが通いやすい場所にしようといろいろと見て回りました。必然的にターミナル駅になるのですが、御茶ノ水駅周辺には、複数の大学病院があり、知り合いの先生も多くいらしたので医療連携もとりやすいという理由で現在の場所に決めました。

どのような患者さんが来院されているのでしょうか。

大高至院長 大高歯科医院2

今、お話した通り勤務医時代の患者さんをはじめ、医療関係の方々、また同業者の患者さんが多いのが特徴かもしれません。看板が小さいせいか、看板を見てきたという患者さんはあまりいらっしゃらず、どなたかのご紹介という場合がほとんどです。ただ、最近は来院される患者さんから、どこに病院があるのかわからない、ネットの案内が不十分だという声を聞くことが増えましたので、通りに面した窓に医院名を大きく張り出したり、HPを作成したりと改善を行っているところです。10代で矯正治療を受けた患者さんが、結婚後に自分のお子さんを連れて来てくださったり、そのご両親、そして祖父母の方までご紹介してくださるんです。ですから、お子さんから高齢者まで、幅広い年代の患者さんがいらっしゃいます。

インプラントは10年、20年後にも異常がなくて初めて成功といえる

特に力を入れている治療はありますか。

大高至院長 大高歯科医院3

インプラント治療でしょうか。インプラントの成功率についての話題が取り上げられることも少なくありませんが、私は成功か否かは、すぐに結論が出る問題ではないと思っています。10年前、20年前の治療法と先端技術を用いた治療法を比較した際、今後10年、20年先どちらがトラブルが少ないかは、まだ判断できません。ただ、昨年惜しくもお亡くなりになられた、インプラント治療の基礎を築いたブローネマルク教授が治療された患者さんの場合、すでに40年超えても問題なく機能している症例があります。当院でも、開業当時にインプラント治療を行い、今も継続的に通ってきてくださる患者さんがいますが、20年経過した今でも大きな問題はありません。このようにインプラントは、10年、20年を経てもなんの問題も起きていないという状態になって初めて成功だと判断できるのだと思っています。最良のインプラント治療を提供するには、ただ新しい技術に飛びつくだけではなく、先人たちの模索の軌跡から学び、症例ごとに最適な治療法を選択することが重要だと思います。物事を学ぶことにおいて、その歴史に立ち返らないと、何か重要なものが欠落してしまうのではないでしょうか。クラシック音楽の演奏者は単に楽譜を見て音を出すだけではなく、その楽曲の構成や作られた時代背景、作曲者の心情や意図を分析し、そこに共感と敬虔な気持ちを持って演奏しているはずです。われわれの医療もかくありたいものです。

先人たちの偉大な知恵を忘れないということですね。

私は20年間、何の問題も起こらなかったインプラント患者さんを診察するたびに、ブローネマルク教授への感謝を忘れません。そして、患者さんから感謝されてもこれは私の手柄ではない、と思っております。新しい方法やマテリアルに手を出すときは、成功するインプラントをこの世に導き出した英雄たちの研究に次ぐ研究という姿勢をもう一度振り返り、時には待ったをかけた方が良いこともあります。焦る必要はなく、十分結果が出てから取り入れればよいのではないかと思いますね。インプラントというのは、何でも大丈夫、同じ結果が得られます、という治療法では残念ながら違います。少しでも多くの症例を見て経験を積むために、積極的に海外に行き、先端技術だけでなく、先人たちの失敗も学ぶようにしています。インプラント先進国の欧米ではエビデンス重視の開発、改良、そして見直しが常に行われていますが、パイオニアとはそういうものです。その情報をいち早くキャッチするべくアンテナを張っている必要があると思っています。

院内の設備について詳しくご説明いただけますか。

大高至院長 大高歯科医院4

治療ユニットは全部で3台ですが、そのうち一つは個室になっています。歯科用CTをはじめ、外科治療に必要な機材はもちろん、矯正に必要な顎機能咬合解析システムや歯をきれいにするための機材も多種揃えています。また、インプラントや外科的治療が多いので、滅菌に対しては特に細心の注意を払っています。ヨーロッパ基準をクリアしたクラスBの設備を用いているほか、部屋全体の衛生にも出来るだけ気を配っています。手術の前日には滅菌作業で終電まで帰れないということもあります。ですから、そうした意味でも、当院では一日に診れる患者さんの人数には限りが出てしまうんです。そして、この体制はスタッフの協力なくしては行うことができません。歯科衛生士は朝から暇なく準備に追われています。私は歯科医師として、その時代時代で最善を尽くしてきたつもりですが、スタッフの尽力があったからこそ、ここまでやってこれたと思っています。感謝してもしきれないです。チームとして行った治療の結果を維持するのは私の責任ですから、彼女たちの努力を無駄にしないように戒めております。

患者の最期のときまで責任を持って治療をしたい

今後のクリニックとしての方針を教えてください。

大高至院長 大高歯科医院5

これはインプラント手術に限ったことではないのですが、私たちにとって毎日やっていることでも、患者さんにとっては、一生で一度の事です。その施術に対して、前もってなるべく準備を整えることです。一見当たり前のように思うことなのですが、その当たり前のことを実行することは、実はとても難しいんです。外科治療において、その場での臨機応変な判断や選択は、経験と情報量、それを統合する明晰な頭脳が必要ですし、何よりもバランスが重要です。しかしそれを可能な限り、術前にあらゆるシチュエーションを想定して準備をしておきたいと思っています。インプラントに限って言いますと、現在、私が使っているインプラントのプランニングソフトでは、手術に用いるサージカルテンプレートの設計過程においてインプラントの埋入位置を徹底的にシュミレーションをできるため、トラブルが起こりにくいインプラント治療の成功に役立てていますね。

先生ご自身における今後の目標は何でしょうか?

海外の研修や学会に出向くことが多くなってきましたが、恥ずかしながら自分の語学力はまだまだ不十分です。この限られた時間の中で精進することは難しいのですが、能力に長けている方々がどのような方法でことを成し得ているのか、もっと学ぶことが必要です。その中には語学のレベルアップ以外でも同じく手段としてコンピューターに精通することも必須だと考えています。幸い、私は人との出会いに非常に恵まれており、同業、他業種、スタッフ、そして何よりも自分の患者さんにいつも力をいただいております。その幸運に答えられるように、また恩返しできるように前進し続けていければと思っております。ちょうどスポーツ選手が自分のパフォーマンスの向上のために、日々ありとあらゆる努力をしているのと同じように。

最後に今後の展望を聞かせていただけますか。

大高至院長 大高歯科医院6

当院も開院から20周年を迎え、開業前からお付き合いのある患者さんも含めて高齢になられた患者さんも少なくありません。実際に入院された患者さんのお見舞いに伺ったことがあるのですが「他の病気で入院していても、歯だけはなんの問題もないので安心していられます」といった言葉をかけていただいたときには嬉しかったです。自分が治療をした患者さんに対しては、健康上の理由などで当院に来ることができなくなったときにも、人生の最期の瞬間までメンテナンスをさせていただきたいと思っています。超高齢化社会を迎え、訪問診療も含め、メンテナンスの質や方法が変革を問われていると考えています。その際は、インプラントに関わらず、メンテナンスした患者さんが何らかの条件で来れなくなった特にどうするのか、ということも1つの大きな問題だと思います。ですから今後は手広くやるのは無理だとしても、訪問診療ができる環境も整えていきたいと考えています。

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