森 美樹 院長、大井 涼子 副院長の独自取材記事
自由が丘みきブレストクリニック
(目黒区/自由が丘駅)
最終更新日:2024/10/24
自由が丘駅から徒歩1分。駅前のマリ・クレール通り沿いのビルの2階にあるのが「自由が丘みきブレストクリニック」。「女性による女性のための乳腺専門クリニック」として、院長の森美樹先生が2016年に開院した。スタッフは院長以下、看護師、診療放射線技師など全員女性。主に乳がんの検診・検査、手術後のフォローアップを行い、サロンと提携してリンパ浮腫ケアにも取り組んでいる。乳がんは治療ができるがんであることから、何より心がけているのが「乳がんになっても前向きに人生を送ってもらうための患者さんのフォロー」だという。「患者さんを長期でしっかり支えていきたい」と語る森院長と、ともに治療にあたっている大井涼子副院長の2人に、治療にかける意気込みや患者に対する思いなどを聞いた。
(取材日2024年9月26日)
女性医師による女性のための乳腺専門クリニック
開業に至るまでの経緯や、患者さんの層について教えてください。
【森院長】以前は旗の台にある昭和大学病院で乳がんの患者さんを診ていました。乳がんは術後10年は経過を観察しなくてはならないのですが、病院勤務時代は担当していた患者さんを長期的に診ることができなくなってしまうケースがありました。「患者さんを長期的に支えていける体制を作れないか」と考えた結果、自分でクリニックを開けばそれが可能になると思いまして、出産後、開業しました。現在は、近隣や東横線、大井町線の沿線上の方を中心に、30代から40代の女性が多くいらしています。最近では、家族歴があるのを心配して相談に来る方や、芸能人が乳がんを告白したのをきっかけに検査に来る方も増えてきた印象です。
2022年からは、大井先生が診療に加わったのですね。
【大井副院長】もともと、聖マリアンナ医科大学の乳腺外科に10年ほど所属していました。医局の先輩と森院長が知り合いだったのがきっかけで、週1回、診療のお手伝いをするようになり、2022年の4月から常勤で働き始めました。がんの早期発見や良性の方に対するケアなど、大学病院とはまた違ったやりがいを感じています。判断に迷った際には森院長とお互いに意見交換しながら診療を進めていけるので、そこは当院の強みだと思っています。
【森院長】大井先生をはじめ、非常勤常勤関わらず熟練した医師がいますので、恒常的に質の高い診療が受けられる体制を整えることができました。ですから患者さんには、安心して通い続けていただけたらと思います。
院内作りでこだわった部分はありますか?
【森院長】当院は「乳がんではないか」と心配して来院される方が多いので、できるだけ心を穏やかに保ちリラックスできるように、温かみを感じられる空間にしたいと思いました。そこで木目と緑色を基調にしたインテリアを選びました。患者さんには「新緑の季節の高原の別荘にいるような気分」と喜ばれています。乳がん=ピンクリボンのイメージがあるので、ピンクの内装を選ぶ乳腺外科のクリニックが多いようですが、私自身はピンクより緑が落ち着くのでとても気に入っています。また待合室は明るくするため、光が入る窓側の位置に作りました。同時に外から中が見えないように座っている位置ぐらいまでクリニック名の外装で隠しています。
がんになっても人生は続く。前向きに生きる手助けを
クリニックの特徴を教えてください。
【森院長】当院は乳がんの検診や検査をメインに行っています。多くの患者さんは胸のしこり、痛み、乳房の皮膚の変化などを訴えて来院されます。まずは病歴や今の状態について問診し、触診します。乳がんの家族歴があるとリスクが高まりますので、その場合はリスクをお伝えしています。検査はマンモグラフィと超音波検査をセットで行い、乳がんが見つかれば提携している病院をご紹介するという流れです。乳がんは40代から急に増える病気なので、自覚症状がなくても40代以上の方には年に1回のマンモグラフィ検診を受けることをお勧めしています。2017年から目黒区の乳がん検診実施医療機関になっています。より地域に密着し、地域医療に貢献できればと思っています。
「乳がんになっても前向きに」というコンセプトを掲げていらっしゃいます。
【森院長】乳がんは初期に見つかれば治る病気で、乳がんになった後も人生は続きます。前向きに人生を歩んでいただくためにも、医師として患者さんに寄り添う気持ちは決して忘れないようにしています。以前担当した乳がんの患者さんの中に、抗がん剤の副作用が強く出て、とても苦しまれた方がいらっしゃいました。その方が苦しみを乗り越えられた時に、「私の経験を、これから他の患者さんのために生かしたい」とおっしゃってくれたんです。その方の場合はネイルケアが得意な方だったので、乳がんの患者さんにボランティアでネイルケアをしていきたいとおっしゃっていました。このように、患者さんが自身の思い描く自分らしい人生を歩むために、これからも医療者としてできるだけのサポートをしていきたいと思っています。
患者さんと接する際に、大切にしていることを教えてください。
【森院長】まずは適切な診断ですね。その上で過不足なく必要な医療を提供していくことだと思っています。患者さんが安心して納得して帰ってもらえるよう、丁寧な説明や声掛けも大切にしています。不安の内容は患者さんによってそれぞれ違います。患者さんが何に不安を感じているのかをくみ取って、アドバイスをお伝えするのも私たちの重要な役割だと思っています。
【大井副院長】一人ひとりに合った説明をするよう心がけています。患者さんによって不安な要素は異なるので、同じ説明で納得できる方もいれば、より不安を増長されてしまう方もいます。そのため、患者さんの雰囲気や顔色を見て、寄り添った説明をしたいと常に考えています。漠然とした不安を解決するために、データなど正しい情報を提示することも重要です。
がんや再発を見逃さないために先進の検査機器を活用
今年の7月には、3Dのマンモグラフィを導入されたそうですね。
【森院長】マンモグラフィ検査は、基本的に2Dと3Dの両方を使って撮影します。2Dと比べて3Dのほうが複数の角度から乳房を見ることができるため、乳腺と重なって見えづらかったがんも発見しやすくなっています。画質も向上し、こちらも自信を持って診断ができるようになりました。大学病院以外で、3Dのマンモグラフィを取り入れているクリニックはまだまだ少ないと思います。
【大井副院長】画像の鮮明度が上がったので、必要以上に再検査をしなくて済むのも良いですね。マンモグラフィは人によって痛みを強く感じることもあり、苦手な方も多いと思います。当院では、経験を積んだ技師による検査や、3Dのマンモグラフィの活用によって再検査の回数を減らすことで、患者さんの負担軽減をめざしています。
今後どんなことに取り組んでいきたいですか?
【森院長】当院はスタッフが全員女性ですし、痛みにも配慮した検査を行っていますので、女性が受診しやすいクリニックであるということを広く発信し、受診や検査のハードルを下げていきたいですね。また、乳がんというと若い方でもなる病気というイメージが強いと思いますが、罹患率は60代や70代が最も多いんです。国の乳がん検診の無料クーポン事業の対象が40代から60代までということもあり、女性のなかには閉経すると乳がんにならないと思っている方もいるようです。いくつになっても乳がんのリスクがあることを多くの方に知ってもらい、適切なタイミングで検査を受けてもらえるよう、引き続き働きかけていきたいと思います。
最後に、患者さんへメッセージをお願いします。
【大井副院長】乳がんの患者数は年々、増加しています。そのため、すべての女性にとって身近で、「ここがあれば大丈夫」と思ってもらえるクリニックでありたいですね。乳がんの患者さんや検査を必要としている皆さんと、10年、20年と長くお付き合いしていきたいと思います。
【森院長】当院はマンモグラフィや超音波の画像診断にとても力を入れています。大学病院は手術や抗がん剤、再発治療などさまざまな役割を担っていますが、当院では良悪性の診断にほぼ特化して日々診療しており、熟練した医師たちが対応するので、高いレベルの診断を提供していると自負しています。自由が丘という便利な場所にありますので、気になる症状の有無に関わらず、買い物のついでに寄っていただき、気軽に乳がん検診を受けていただけたらうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは症状のない方(健康診断として乳房検査をされる場合は自費診療となります。)
1. マンモグラフィ+超音波+視触診 1万7600円
2. マンモグラフィ+視触診 1万1000円
3. 超音波+視触診 8800円