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加藤 貴弘 院長の独自取材記事

相武台脳神経外科

(相模原市南区/相武台前駅)

最終更新日:2024/03/13

加藤貴弘院長 相武台脳神経外科 main

小田急線相武台前駅から徒歩3分という好アクセスな立地。2020年10月、この地へ移転したのが「相武台脳神経外科」だ。2011年の開院以来、院長である加藤貴弘先生は、患者が本質的な健康を手に入れることをめざして、治療とともに生活習慣の改善と向き合ってきた。多くの病気と深いつながりを持つという生活習慣は、脳神経外科の分野において、特に重要視されてきたという。また、これまで培ってきた経験を、がん治療の分野でも生かそうという加藤院長の試みが始まっている。自身の心と体に向き合うことの大切さについて言葉を尽くして語る一貫した姿に、その信念の強さと人柄がにじみ出る。そんな加藤院長にがん治療にかける思いなどについて話を聞いた。

(取材日2024年2月14日)

三大がん治療をサポートする「ハイパーサーミア」

来院される患者さんは、どういった方が多いのでしょうか。

加藤貴弘院長 相武台脳神経外科1

頭痛などの症状から頭の病気を疑って来院される方が多いです。また、脳梗塞を経験して、再度発症しないために薬の服用などの管理をしながら定期的に来院する患者さんも多いですね。駅から近いため、歩いて来られる方が多いのも特徴です。年代的には中高年以上の方のほか、頭痛などの症状では働き盛りの30代や40代の方が中心です。また、最近では頭を打った小学生などが来院することも増えました。最近の小学生は体が硬いために、転んだ時の頭にかかる衝撃が大きくなっている傾向があります。例えば30年前の小学生と比較すると、背骨まわりがかなり硬くなっているのです。これは動画やゲーム画面などに接している時間が長いことも影響しているでしょう。体全体にバネのような柔軟性があれば、たとえ頭を打ったとしてもその衝撃は吸収されて弱まりますが、硬いために首を痛めたり脳震とうを起こしやすくなっていることが考えられます。

最近、力を入れていらっしゃるという「ハイパーサーミア」とはどのような治療法なのでしょうか。

「ハイパーサーミア」とは、がんを対象とした保険適用の治療です。がん細胞の“普通の細胞よりも熱に弱い”という性質を利用する治療です。具体的には、正常細胞が耐えられて、がん細胞が耐えられない温度は42~43度以上といわれており、がん周辺部だけをその温度まで上げていきます。抗がん剤や放射線治療などの三大治療と併用することが望まれます。全身の温度を上げるのではなく、がん周辺部だけの温度を上げるので、感覚としてはその部分だけが熱く感じられます。

副作用はありますか?

加藤貴弘院長 相武台脳神経外科2

がんの三大治療は期待される効果とともにリスクもとても高いことが懸念されますが、「ハイパーサーミア」のリスクは、たとえるならお風呂のリスクと同じようなものと考えていただくといいかと思います。副作用としては、脱水症状の危険があります。しっかりと水を飲んでおかないとフラフラしたり、可能性は低いですが脳梗塞になったりしやすくなります。また、局所的に皮膚がやけどのようになることがあります。また、熱を当てたい部分を押さえる必要があるため、肺にがんがあったり、胸水や腹水があったりする場合は「呼吸がしづらい」など息苦しさや圧迫感を感じる方もいらっしゃいます。「怖い」と言う方もたまにいらっしゃいますが、治療中は注意して水分補給をしていただきますし、近くに必ず看護師が付き添って「熱かったら必ず言ってくださいね」と声かけをして、リラックスして受けてもらえるように努めています。

生活習慣を見直しながらがん治療に向き合う

「ハイパーサーミア」はどのような人が受けられますか。

加藤貴弘院長 相武台脳神経外科3

保険診療として「ハイパーサーミア」が適用される条件は「画像でがんが確認されること」です。CTやエコーなどで腫瘍があることが確認されることが必要になります。年齢的にはお子さんから高齢の方まで実際に治療を受けていただけますが、当院の条件として自分で歩いて病院に来られる方、待合室でご自身で待つことができる方という基準を設けています。先ほどお伝えしたように、お風呂と同じような影響を体に与えるものなので、全身状態が悪い方が受けても、つらいだけで負担が大きくなってしまうと考えています。また、頭蓋内にあるがんは対象外です。

脳神経外科でがん治療の「ハイパーサーミア」を取り入れた理由をお聞かせください。

私自身の専門は脳神経外科であって、がんではありません。脳神経外科で診察する疾患は脳梗塞や脳出血、脳卒中などが多いのですが、そのほとんどが生活習慣を原因としています。そのため、患者さんと一緒に生活習慣や体質改善をしていくということをこれまでずっとやってきました。一方で、がん治療の現場では生活習慣の見直しが「ないがしろ」にされているという印象がありました。これまで患者さんと模索してきた生活習慣や体質改善が盲点なのであれば、その面からもサポートしながら、がん治療に対して当院でできることに対応していきたいと考えました。

診療の上で、大切にしているのはどのような思いですか。

加藤貴弘院長 相武台脳神経外科4

以前から感じていたのは、日本人の中で体との向き合い方や扱い方があまり意識されていないということです。例えば、不安な気持ちから脳ドックなどの検査を受ける方がいらっしゃいます。検査によってそのときは安心できても、また時間がたてば「病気になっているのではないか」といった不安が生じてくる。検査すること自体はいいことですが、一方で、不安の原因は動物的な感覚として自分の体をきちんと意識できていないことにもあると思います。「頭が痛い」「腰が痛い」という体の声を無視しながら頑張って生活を続けて、体のことを考えずに何十年も過ごしていると、自分の体の状態が次第にわからなくなってしまうのです。体と向き合って、自分の体についてある程度わかった上で検査をしたほうが安心できると思います。そのため「体に対する感覚を適正化して、体との向き合い方を改善していきましょう」というメッセージを伝え続けることを大切にしています。

体の声を聞き続けることから健康への道が開ける

2020年に今の場所へ移転されたそうですが、院内のどのような点にこだわりましたか。

加藤貴弘院長 相武台脳神経外科5

換気のために窓を多くした、という点です。最近は新型コロナウイルス感染症などの感染症対策が見直されてきてはいますが、病院という場をつくる上で換気はとても重要だと思っています。というのも、空気の流れが悪いと、汚れた空気が部屋の中に停滞してしまい、健康状態へも影響を及ぼす恐れがあるからです。例えば川の水は、流れていればきれいな状態ですよね。でも沼などであると、そこによどみが出てきて、汚くなったり虫がわいたりします。病を抱えている方が集まる場所という点でも、換気には注意を払っています。

「体の声を聞く」ということを先生は大切にされていますが、そう考えるようになったのはなぜでしょうか。

医療現場は煮詰まってきており、うまくいっていない状況が続いていると以前から感じていました。そのような状況に疑問を感じていた頃、一時的に医師を辞めて日本全国を取材して歩いていた時期がありました。東洋医学など医療家の方々を訪ねてお話を伺う中で、結局のところは患者さんの心身との向き合い方が大事なのではないかという結論を得ました。そこで「できるだけ自分の心の声を、体の声を聞こうとすること」の大切さについてあらためて考えました。それから「体の声を聞き続ける。そうすれば健康への道が開ける」というメッセージを伝え続けています。

「ハイパーサーミア」治療に関心を持っていらっしゃる方にメッセージをお願いします。

加藤貴弘院長 相武台脳神経外科6

まだ認知度が高いとはいえない「ハイパーサーミア」ですが、がんと診断された初期から三大治療と並行して行ったほうが、ほとんどのがん患者さんにとってメリットが期待できる治療だと思います。例えば、もう抗がん剤の効果も望めなくなり、打つ手がなくなり、緩和ケアに移行するという頃になって「最後にハイパーサーミアでなんとかなれば」というものではないと考えます。「ハイパーサーミア」とは魔法の治療でもなんでもなく、起死回生のホームランを打つためのものではないということをご理解いただきたいです。がんと診断されて、ある程度体の調子が良いうちから並行してコツコツと「ハイパーサーミア」を続けていくことが、長期戦になるがん治療の中でも大切だと思っています。一般的ながん治療とは別に、当院が補足的にお伝えできることがあると思いますので、そういった貢献ができたらと思っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

脳ドック/1万3800円~5万1800円

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