石川 基 院長の独自取材記事
スウェーデン矯正歯科
(中央区/銀座一丁目駅)
最終更新日:2025/06/11

銀座1丁目、並木通り沿いのビル2階にある「スウェーデン矯正歯科」。石川基院長は、笑顔と楽しい話が魅力の気さくな歯科医師。新潟大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)口腔外科や一般歯科領域での臨床経験を経て、歯科医療の先進国ともいわれるスウェーデンのイエーテボリ大学に3年間留学。科学的根拠に基づいた矯正歯科について多くの知見を得て、2015年に同院を開業した。今回は、一般歯科と矯正歯科の両方に精通しているからこその強みや、診療にかける思いについて、石川院長に聞いた。
(取材日2025年4月1日)
歯科医療の先進国で科学的根拠に基づく矯正を習得
まずはクリニックの特徴からお聞かせください。

一般的には別々に診療されていることの多い、一般歯科と矯正歯科を両立しているのが当院の特徴ですね。それぞれの視点から総合的に口腔内を検査・診断して、適切な診療計画を策定しています。例えば、歯のぐらつきが気になって受診された患者さんが、治療を進めるうちに噛み合わせの重要性に気づき、矯正を希望されたとしましょう。これは非常によくある例ですが、実際にお口の中を診ると「矯正からスタートしていれば、もっと効率良く口腔状態の改善を図れたかもしれない」と感じるケースが少なくないのです。患者さんにとって、より適切な治療を無駄なく提供するため、歯科医療の先進国であるスウェーデンで学んだ科学的根拠に基づいた矯正歯科と、東京医科歯科大学歯科口腔外科や町の歯科クリニックでトレーニングを積んだ一般歯科の知識・経験を生かして診療をしています。
スウェーデンに留学したのはどんな理由があったのですか?
新潟大学を卒業後、約10年間、東京医科歯科大学や一般歯科クリニックで臨床経験を積みました。そんな中、矯正歯科と一般歯科の結びつきがもっと強くなれば、より歯科治療のクオリティーが上がり、患者さんのQOL(生活の質)を高められるのではないかと考えました。また、国内では小児矯正について明確な指針がないことに疑問を感じたことも理由の一つです。どのような症状で、何歳くらいの時に、どのような矯正を行うのが適正なのか、ほとんど誰もよくわかっていないのではと思ったのです。そこで思い切ってスウェーデンのイエーテボリ大学に3年間留学しました。
留学中、どのようなご経験を積まれましたか?

人口50万人ほどの都市に、矯正歯科クリニックが1軒程度しかないような環境でしたので、多種多様な症例について研鑽を積むことができました。矯正の計画作成についても学びましたが、最初は1症例に2時間はかかってしまい、口頭試問やプレゼンテーションの準備が進まず苦労しました。でも、多くの症例に触れられたからこそ学べたこともたくさんあります。特に、患者さんの意見をよく聞いてディスカッションするという意識は、スウェーデンでの日々の生活の中で身についたものですね。日本人は「違うよ」と言われると人格否定されたように感じがちですが、スウェーデンの人は物事を良くするきっかけとして捉えるので、礼儀や態度さえわきまえていれば人間関係に亀裂が入ることは少ないんです。留学の際のディスカッションから多くを学び、成長させてもらったと感じています。その後、帰国して2015年に銀座に開業しました。
開業の場所として銀座を選んだのはなぜですか?
当院は他院から紹介で来る患者さんも多いことから、交通の便が良い銀座という場所は魅力的でした。矯正についての正しい知識を患者さんだけでなく、同業の歯科医師の方にも発信していく上でも銀座は最適の場所です。開業に際して、内装はスウェーデンの家に多いデザインからヒントを得て、白い壁を基調に緑や赤色を随所に配しています。ダーラヘストという伝統工芸品の木馬をはじめ、待合室のインテリアも北欧の物が多いですね。大きめの窓から見える並木通りの木々も、留学時に家族4人で暮らした郊外の自然豊かな環境を思い出させてくれるんですよ。
小児矯正では適切な時期に必要な対応をすることが大切
患者さんはどのような方が多いのでしょうか?

今は難症例の方や他院では断られてしまった方、質にこだわった治療を求める外国の患者さんが多いです。どのような症状でも改善に向かえるよう明確な計画を立ててオーダーメイドの治療を提供しています。大人の患者さんが多いですが、永久歯の本数が少ない先天性欠損歯のお子さんも積極的に受け入れています。先天性欠損歯は一般的には様子見となって治療につながらないことも多いのですが、放置していると歯並びや噛み合わせが悪化して治療が困難になることも考えられます。そのため、歯の成長予測に基づいた長期的な計画を早期に立てることが重要です。なかなか抜けない乳歯などがサインですので、気づいたらぜひご相談ください。
小児では、ほかにどんな症状があれば受診したほうが良いですか?
7歳くらいになると、今お話しした先天性欠損歯のほかにも、受け口や出っ歯、永久歯が正しい方向で生えない異所萌出といった問題症状の特徴が現れ始めます。これらも診断して適切な治療を行わないと、将来難しい問題が起きてきます。気になる症状があれば早めにご相談ください。小児の矯正というと、単に歯列を拡大して歯並びをきれいにするものと考えがちですが、決してそうではありません。今、起きている機能的な問題を解決することに加えて、将来起こり得る問題を未然に防ぐことこそが一番の目的です。ただ前歯のでこぼこを直すのではなく、将来の横顔の美しさを含めた、長期的な視点でゴールを考え、そこから逆算して必要な時期に必要な治療を科学的な根拠に基づいて行うことが重要なのです。
科学的根拠についての情報はどのようにして得ているのですか?

欧米の論文によるところが大きいですね。その論文をどう読み解くか、といったことも重要です。要旨と論文本体の主旨が違っている場合もありますし、論文全体や参考文献リストも丁寧に読み込んで判断しています。また、科学的根拠だけでなく、それに基づいた豊富な経験も矯正歯科では大切だと思っています。矯正期間中には何らかのトラブルが起きることもあり、それに対する適切なリカバリーや迅速なバックアップにはやはり豊富な経験が必要不可欠だと思います。
患者だけでなく歯科医療者にも小児矯正の正しい知識を
診療の際はどんなことを心がけていますか?

幼い頃、開業医だった父が患者さんから「ありがとう」と感謝されているのを見て、子ども心に「良いな」と思っていました。医療も、結局のところ最後は人と人。父のように、患者さんから感謝してもらえるような優しさのある診療を心がけています。「今からこういう音がしますよ」「痛かったら手を挙げてくださいね」と一声かけるだけでも、患者さんの安心感につながりますよね。そういう関係性を築けていれば、わからないことや不安なことも歯科医師に打ち明けやすいのではないでしょうか。
セミナーや研究にも携わっているとお聞きしました。
歯科医師や歯科衛生士向けのセミナーを積極的に開催しています。留学中、今お話ししたような早期に対策を取るべきパターンの見極め方などを学びましたので、多くの歯科医師にも知ってもらい、患者さんを適切な治療に導いてほしいという思いでセミナーを開催しています。また現在、エックス線写真の読影をサポートするAI技術について母校の大学院に入って研究し、企業と共同開発しています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

患者さんが楽しく生活するためのお手伝いをしたいと思っています。矯正は噛み合わせ以外にも、社会心理学的に貢献できるところがあると思うんです。歯のせいで自信が持てないという方を少しでも減らしていきたいですね。また、患者さんご自身に矯正について知っていただく啓発活動にも力を入れていこうと考えています。例えば、歯列矯正をこれから始めたいと思っている方が、マウスピース型装置にも向き不向きがあることなどを知ることができたら、後悔の少ない矯正方法を選択できるのではないでしょうか。お子さんの歯の矯正を考えている親御さんも、その矯正が将来的に本当にお子さんの生活の質の向上につながるのかどうか、一度冷静に考えていただきたいと思います。当院では、矯正について30分間の無料相談を行っていて、正しい知識の提供に努めています。皆さんの悩みをまずは知ることを心がけていますので、お気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは10歳頃までの小児矯正(1期治療)/16万5000~33万円、部分矯正/22万~66万円、表側矯正(上&下)93万5000円~159万5000円、マウスピース型装置を用いた矯正/38万5000~132万円、アンカースクリューを用いた矯正/各矯正料金に+11万円~、舌側矯正/121万~187万円
※トータルフィー制度を導入しております。詳しくはクリニックのホームページをご確認ください。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。