全国のドクター9,287人の想いを取材
クリニック・病院 158,646件の情報を掲載(2024年4月19日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 川崎市幸区
  4. 新川崎駅
  5. たくま幸クリニック
  6. 詫摩 哲郎 院長

詫摩 哲郎 院長の独自取材記事

たくま幸クリニック

(川崎市幸区/新川崎駅)

最終更新日:2024/04/05

詫摩哲郎院長 たくま幸クリニック main

川崎市幸区で30年近く、地域の人たちの健康を守ってきた「たくま幸クリニック」。内科・糖尿病内科・小児科を掲げ、子どもから高齢者までの幅広い年齢層に対応している。院長の詫摩哲郎(たくま・てつお)先生は大学院まで白血病の基礎研究に携わり、アメリカ留学から帰国後に臨床分野に転身した。勤務医を経て1996年に開業し、翌1997年にこの地に移転。開業当時は周囲に小児科の医院がなかったことから小児科を加えたが、詫摩先生の専門は糖尿病内科だ。昨今は高齢化に伴い、糖尿病を患う人が増えているという。月日とともに周囲の環境や来院する患者は変化したが、「患者一人ひとりに寄り添った医療を提供する」という診療方針は、開業以来変わらない。長年この地に暮らす人々を見続けてきた詫摩先生に話を聞いた。

(取材日2024年3月7日)

基礎研究で培った、わずかな差異に気づく力

詫摩先生が医師になろうと思われたきっかけを教えてください。

詫摩哲郎院長 たくま幸クリニック1

明確には覚えていないのですが、幼い頃の経験が医師の道を歩むことになるきっかけだったかもしれません。大分県で生まれ、横須賀市で育った私はカトリックの小学校に通っていたのですが、そこで人間愛やそれにまつわる物語に触れる機会が数多くありました。親は医師ではないので、幼い頃から医師になろうと考えていたわけではありませんが、小学生時代に学びを通して培われた物事の見方や考え方であったり、野口英世やアルベルト・シュヴァイツァー、松本良順、華岡青洲といった偉人たちの伝記を読んだことだったり、そんなことから知らず知らずのうちに影響を受けたのだと思います。

以前は基礎研究をなさっていたそうですが、当時の経験が臨床現場で生きていることはありますか?

基礎研究というのはかなり繊細なもので、日々さまざまなデータを精密に計測し、収集します。ほんのわずかな差異に気づき、その理由や次にどうするかを考える。臨床現場では、検査結果の数値を見て、変化に気づくことはもちろん、目の前にいる患者さんの顔色・表情・仕草などを見て、たとえそれが小さなことであっても気づいて対処する必要があります。当時研究していたのは白血病に関することですが、変化を敏感に受けとる力、読み取ろうとする思いは、基礎研究時代に鍛えられたのではないでしょうか。その経験は症例報告やそれに準ずる研究発表をするときだけでなく、患者さんを実際に診療する際にも役立っています。

開業されてから30年近くたちますが、当時と今とでは町や患者さんはどのように変わったのでしょう。

詫摩哲郎院長 たくま幸クリニック2

ここはクリニックの前にバス停はあるものの、どの駅からもアクセスが良いとは言えないエリアです。開業当時は地域コミュニティーが強く、祭りなども盛んに行われていました。その頃、周囲に医療機関があまりなかったことから、このクリニックで小児科を始めたので、当時はあらゆる年齢層の患者さんがいらっしゃいましたね。時を経て、住宅やマンションがどんどん増えてきたことで、新しく引っ越して来る方も多く、町全体にずいぶん若い方が増えました。一方で、新たに開業するクリニックも増えたので、現在来院される患者さんは高齢者が中心で、私が専門としていることもあり、糖尿病の方がたくさんいらっしゃます。

常駐の管理栄養士とともに進める糖尿病への対策

こちらの糖尿病の診療には、どのような特色がありますか?

詫摩哲郎院長 たくま幸クリニック3

当クリニックでは糖尿病の患者さんに対して、以前からCGM持続血糖モニタリングを行っていました。これは患者さんの血糖値の変動を2週間測定し続ける検査です。このモニタリングが出始めた頃、いち早く導入しようと思ったのは血糖の状況を詳しく把握しなければ、より良い治療ができないと考えたからです。糖尿病は生活習慣のほか、遺伝的な因子が関係することもありますが、初期段階で自覚症状はほとんどありません。人間ドックや健康診断で少しでも数値に異常が見つかったら、自分の健康を見直す良い機会だと受けとめていただきたい。後々大きな病気につながらないよう、少しでも早く生活習慣を改善してほしいと思います。

糖尿病の対策というと、やはり食事でしょうか。

大事なのは、食事と運動です。当院ではまず、患者さんの今の生活状況をよく聞くことから始めます。その上で、無理なく取り組んでいただけるよう、その人に合ったアドバイスをしていくことを心がけています。「規則正しく、朝昼晩きちんと食事を取って……」と伝えたところで、例えばその人が長距離トラックの運転手をしていたら、実行するのは難しいですよね。その人なりの工夫ができないか、どうすれば取り組みやすいかを、患者さんに寄り添いながら考えていくことが何よりも大切。また、当院には管理栄養士が常駐していますので、一人ひとりに合った方法を相談しながら、アドバイスしていけるのも当クリニックの特徴です。

常駐の管理栄養士さんがいらっしゃるのは心強いですね。

詫摩哲郎院長 たくま幸クリニック4

はい、私が診療している間に個々の患者さんから詳細にヒアリングしてもらえるので、とても助かっています。特に高齢の糖尿病患者さんは、厳しく食事制限をしすぎると、心身ともに弱ってしまう可能性もあります。それを防ぐため、糖尿病であっても高齢の方に関しては、ある程度しっかり食べたほうが良いという考えに変わっているのです。実際にどのような対策をするかは年齢や病状にもよりますが、タンパク質やエネルギーが不足していないか、体重が落ちすぎていないかに注意しながら、食生活の問題点を洗い出し、アドバイスしています。

希望に沿った医療を心がけて

この地で長く診療されているので、親子2世代にわたり来院される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

詫摩哲郎院長 たくま幸クリニック5

親子2世代、中には3世代にわたってお付き合いしているご家族もいます。開業当時から自分の家族のような意識で患者さんと接してきたからか、専門外のことや時には診療に関係ないことまでお話されることもあります。専門性の違いから他の医師を勧めても、どうしてもここで診てほしいという方もいると困ることもありますが、それだけ信頼してくださるのはありがたいことです。当院には駐車場を7台用意していますが、寝たきりになるなど通えなくなった患者さんには訪問診療で対応しています。また、この場所に移転してきたときから、水ぼうそうやはしかなど感染力の高い伝染病の対策のため、外にインターフォンを設置して、別の入口から第2待合室に入る動線も用意しています。

近くの幼稚園や小学校の園医・校医もなさっていますが、最近の子どもたちを見て、何か変化を感じますか?

栄養状態がいいからか、以前と比べてずいぶん体格の良い、大きな子が増えました。その一方で、心配なことが1つあります。先日、ある小学校のPTA会議に参加したとき、教室や校庭、そして登下校の途中で、ケガをする子が多いと聞きました。これは私見ですが、転んだ時に手をつかず、顔から突っ込んでしまう子がいるのではないかと思うのです。というのも、私は東京で土曜日に子どもたちを対象として合気道を教えているのですが、受け身ができる子は10人中2人いるかいないかで、ほとんどの子がうまくできません。小学生から塾に通う子もいますし、外で遊ぶ機会が減っていることが影響しているのでしょう。私が直接教えられる子どもは限られていますが、合気道は体の使い方に無駄がなくなると思いますので、ぜひやってみてもらいたいですね。また、合気道でなくてもスポーツや外で遊ぶことを通して、体の使い方を知ってほしいと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

詫摩哲郎院長 たくま幸クリニック6

当クリニックでは、糖尿病のみならず内科のさまざまな病気を診療してきました。長年通う方たちが年齢を重ねたことで糖尿病患者が増えているため、ますます糖尿病治療には力を入れていきますが、もちろん糖尿病以外の内科も引き続き診療していきます。開業以来、心がけてきた患者さんの希望に沿った医療をこれからも提供していこうと考えているので、体の不調を感じたとき、また健康診断で数値に異常が出たときには、ぜひ気軽に足を運んでほしいと思います。

Access