村井 純子 院長の独自取材記事
藤沢金沢内科クリニック
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2025/06/04

3社3路線が乗り入れる湘南のターミナル、藤沢駅。その南口からすぐのビル1階に「藤沢金沢内科クリニック」がある。美容院か喫茶店と言われてもうなずけるような、おしゃれなインテリアで飾られた院内で、迎えてくれたのは村井純子院長。日本内科学会総合内科専門医として、糖尿病内科、内分泌内科、睡眠時無呼吸症候群の治療を柱とし、慢性疾患の管理や治療に取り組んでいる。「長く通っていただく方が多い慢性疾患メインのクリニックだからこそ、濃密なコミュニケーションを大切にしたい」と語る院長に、その診療方針やめざす医療、医師としてのこだわりなどについて話を聞いた。
(取材日2015年12月25日/情報更新日2025年4月28日)
糖尿病、甲状腺疾患、睡眠時無呼吸症候群の治療に注力
内分泌代謝疾患や睡眠時無呼吸症候群の治療を専門とされているそうですね。

はい。糖尿病のコントロールを行う糖尿病内科と、バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患を中心に扱う内分泌内科、また糖尿病との関わりも解明されてきた睡眠時無呼吸症候群の治療という3本の柱で診療を行っています。この三本柱は「医療法人みなとみらい」全体の統一テーマでもあり、グループをあげて取り組んできました。グループで月に一度医局会を開き、症例検討会や勉強会も活発に行っているので、データやエビデンスが豊富なのも強みですね。
糖尿病と睡眠時無呼吸症候群に関連があることは、一般的にまだあまり浸透していないように思います。
そうかもしれません。しかし、糖尿病のリスクファクターとして睡眠時無呼吸症候群と深い関わりがあることは、近年の調査研究によってわかってきました。当法人内でも両者の関わりについての研究を深めていますし、睡眠時に無呼吸が起きるとその苦しさからか血圧と血糖値が上昇するというデータも多数発表されています。もちろん、肥満との関わりもありますので、両者を並行してコントロールすることができれば、病態の安定を図ることができるのではと考えています。
実際の診断、治療はどのように行うのでしょうか?

睡眠時無呼吸症候群では、まずご自宅で指に酸素濃度測定器をつけて就寝していただく簡易検査を行い病態を把握します。必要に応じて、睡眠の状態をより詳しく測定する検査をひと晩かけて行う場合もあります。軽症の場合は、歯科でマウスピースの作製をお勧めすることもありますが、基本的には加圧した空気を送って気道狭窄を防ぐCPAPという機器を使って治療することが多いです。月に1度受診していただき、データを見ながら空気圧の調整を行います。CPAPは「一度使うと手放せない」と言われる方もいるかもしれませんね。もし検査に宿泊が必要となれば、系列院である、みなとみらいクリニックをご紹介することも可能です。また、糖尿病の治療はインスリン注射などを含めた投薬と栄養指導が中心で、甲状腺疾患は投薬による治療がメインとなります。いずれにしても長期にわたり、定期的に通院していただく必要があるので、通いやすさには心を配っています。
通いやすさとコミュニケーションを何より大切に
「通いやすさ」に対しては、どのような工夫をされていますか?

例えば、待ち時間が長く、「どのくらい時間がかかるか読めない」というのは患者さんにとって大きな負担です。そのため、当院では完全予約制を採用し、ご来院いただいた際に次回の予約を取っていただくシステムを導入しました。長時間お待たせすることが少ないので、スケジュールが立てやすく、快適な通院につながるのではないでしょうか。また、待ち時間の負担は治療へのモチベーション低下につながることも多いので、この予約システムによるメリットは大きいと思います。時には、初診の方や急性症状の方などを空いた時間にお受けすることもありますが、基本的にはすべて予約制です。初診時にもお電話でご予約いただくようにしています。
診療において大切にしていらっしゃることは?
当院は慢性疾患中心の診療をしており、長く通われている方が多いので、患者さんとのコミュニケーションを大切にしています。例えば、診察室のドアを開けて患者さんのお名前を呼びながらお招きするのも、大事なコミュニケーションの一つ。これはお名前とお顔を確認するためでもありますが、待合室からこちらへ歩いて来られる様子というのは、お体の状態を把握するためのヒントにもなります。また、高齢の方でしたら、ご家族の構成や、付き添いの方がいらっしゃるのかなどを知ることも大切です。お一人で来院されるご高齢の方には、介護保険をお勧めするなどのアクションも必要と考えています。スタッフ一同、お話をしっかり伺うことはもちろんですが、言葉に頼らないコミュニケーションも大切にし、ライフスタイルに合わせて、お一人お一人に寄り添いたいですね。
栄養士による指導にも力を入れているとか。
はい。当院では週に2度ほど栄養士による指導日を設定し、必要に応じて指導を受けることをお勧めしています。特に糖尿病の方は食事面の管理が大切ですが、糖尿病だけでなく睡眠時無呼吸症候群の原因になり得る肥満の対策なども指導が可能です。わかりやすく役に立つ栄養指導をめざして、具体的なメニューを提案するほか、野菜の必要量についても実際の量を見ていただいて明確にお伝えするよう努めています。
院内の情報共有も密に行っているそうですね。

毎朝、スタッフ間でミーティングを行い、その日に受診される方の検査予定や病状などを共有してきました。また、月に1度はランチミーティングも行い、医療制度の改正によって必要になるスタッフの仕事の確認や、定期接種ワクチンの日程についても話し合っています。これによって、スタッフたちがスムーズに連携できるようになれば、診療時間だけでなく検査や会計の待ち時間も短縮できるのではないでしょうか。また、スタッフが患者さんの病状をきちんと把握できれば、受付で病状に応じた予約枠を設定することも可能でしょう。そのほか、臨床検査技師や看護師による自己注射や血糖測定、CPAPの使い方の指導などもより綿密にできると思います。
「来るだけで元気になれる医院」をめざして
院長は日本循環器学会循環器専門医でもありますが、糖尿病内科の診療をする上での強みは?

糖尿病が原因で亡くなることは少ないのですが、血流障害による合併症は深刻です。特に狭心症や心筋梗塞など、循環器の疾患として表れるケースが多く、これらを防ぐためにも血糖値のコントロールは重要なのです。経験が豊富な循環器専門医は、患者さんのお話を伺うだけで疾患を疑うことができます。つまり、病気を早期に把握しやすいのです。当院では心電図やエックス線なども完備していますし、専門の医師としての知識と経験を駆使し、大きな病気を治療した後の予後管理もお引き受けできます。
漢方も取り入れていらっしゃるのですね?
漢方薬の作用は人によって異なるのですが、症状によってはとても有用なものもあると考えています。例えば、睡眠時無呼吸症候群や甲状腺疾患を疑って来院される方は、特にこれといった診断がつかないことが多く、不眠や疲れやすさといった不定愁訴に対して漢方薬をお出しすることがあります。また、糖尿病の方に多い「足がつる」といった症状には、芍薬甘草湯という漢方薬を使うことが多いですね。
院長がドクターをめざされたきっかけもぜひ教えてください。
実は医師をめざしたことはないのです。もともとは、姉が子どもの頃から「薬剤師になりたい」と公言していて、その影響で自分も薬学部を受験しました。その後、当時まだ在籍中だった姉の先生が「妹さんはすごくできるから、他の学部も受験したほうがいいのでは?」と声をかけてくださり、医学部も受けてみたところ合格してしまったのです(笑)。薬剤師もそうですが、手に職をつけるという意味ではとても良い選択だったと今では思っています。夫も外科の医師で、長男も現在医学部に在籍中です。
読者へのメッセージをいただけますか。

病気が見つからなくても、「ここに来て話をしただけで安心して体調が良くなった」と言っていただける場所が私たちの理想です。ですので、不安を一人で抱え込まず、ただ話を聞いてほしいという方も遠慮せず受診していただきたいですね。当法人はグループ全体で高い医療レベルを維持していますので、安心してご来院いただけたら。糖尿病や甲状腺疾患、睡眠時無呼吸症候群の治療はもちろん、一般内科の診療も行っていますので気になることがあればお声がけください。当院は完全予約制ですので、まずはお電話をいただけたらと思います。