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井上敬一郎 院長の独自取材記事

井上外科・内科

(世田谷区/三軒茶屋駅)

最終更新日:2021/10/12

井上敬一郎院長 井上外科・内科 main

東急田園都市線三軒茶屋駅から徒歩数分。賑やかな世田谷通りを裏手に入った閑静な住宅街にある「井上外科・内科」。昔ながらの医院といった外観が、この土地での診療の歴史を物語る。長年、大学病院で指導医を務めてきた井上敬一郎院長が開院した外科内科クリニックだ。待合室にはクラシック音楽が流れ、色とりどりの熱帯魚が泳ぐ水槽やオブジェがさりげなく置かれており、初診でもリラックスして診察を受けられる雰囲気に心が和む。井上院長は痔の手術や治療のエキスパートであり、また一人ひとりを考えた丁寧な診療を行うことで知られ、多くの患者から深い信頼を寄せられる医師でもある。クリニックの得意とする診療分野について、医師として患者に接する姿勢について井上院長に伺う。

(取材日2013年6月18日)

開業医としての道を決定づけたドラマ

とても落ち着いた雰囲気のクリニックですね。

井上敬一郎院長 井上外科・内科1

いいえ、古いだけですよ。(笑)建物自体は昭和43年に建てられたものですので、最近のクリニックとは少し印象が異なるかもしれませんね。患者さんがリラックスして診察を受けることができるように、待合室は音楽を流したり、水槽やオブジェなどを置いたり、いろいろと工夫しています。私の父は外科医院を運営していましたので、この建物は父から譲り受けたものです。私がここを引き継いだのは2005年ですが、父の代から数えれば、40年以上この地で診療を行っていることになり、来院される患者さんの中には昔からの方も多いですね。

小さい頃から医師をめざされていたのですか?

祖父、父の兄弟4人みな医師という家系で、小さいころの私にとって、医者という職業は当たり前のものでした。ですから、自然といつかは自分も外科医になるんだと思っていましたね。当然、憧れもありました。しかし、一方で父は私に医師はならなくても、病院を継がなくてもいいと言っていました。どちからというと、子どもには好きなことをさせたいという考えだったのでしょう。ともかく自分の熱中できることをして、自活していればそれでいいとも言われてました。大学では前から興味のあった工学を学びたいと考えていたので、青山学院理工学部、青山学院大学院へと進学しています。理工学部・大学院での6年間は、とても刺激があり楽しかったですね。ただ、将来は理工学系の仕事に就職することは考えていなかったんですね。小さいころの医師に対する感情が強く思い出されたというのでしょうか、いつの間にか医師になりたいという意志が芽生えていたんです。就職活動の時期になっても私が何もしないので、友人は心配してくれましたが、私は医師への道以外のことは考えていませんでした。大学院で工学修士を修了後、東京医科大学医学部で学び、医師となりました。その後、医局で外科と病理学の研究に没頭していましたが、タイミングとご縁もあり、1年と数ヵ月ほど、フランスのルイパスツール大学で臨床指導医長として勤務していました。当時のことは今でも鮮明に記憶に残っていて、とても実りの大きい日々でした。帰国した後は、医局に戻り指導医に従事。忙しいながらもやりがいがあり、あっという間に歳月が過ぎていきましたが、ある日、父が大病をわずらっていることを知りました。

お父さまのご病気から、井上先生がクリニックを開院されたのですね。

井上敬一郎院長 井上外科・内科2

そうです。父は自分の病をおして、患者さんのために診療を続けていました。私は大学病院の仕事の合間をぬって、週に一度、手伝いに行っていたのですが、診察をしていると、ある患者さんが心配そうに、父の病のこと、また病院の今後などを尋ねてくるのです。そのときの私は、本心では答えに困っていましたが「僕がいるから大丈夫ですよ」と言いました。当時はまだ、病院を継ぐということを意識していなかったので、とっさに言葉が口をついただけなのですが、患者さんはとても安心した表情をされました。このことは私が開業医となったきっかけになっています。なぜなら、ここが深く地域に根ざし、どれほど父が患者さんから信頼を受けているのかを実感し、同時に深い感銘を受けたからです。その後、亡くなる直前の父から、病院を継いでほしいと頼まれたことが後押しとなり、建物を譲り受けて開院したのがこのクリニックです。継がなくてもいいというのが口癖の父でしたが、小さいころ、皿の上に敷かれた豆を左手の箸でつまめるようにとか、左手を右手と同じように不便なく使えるように練習させられたりなど、今考えれば、父は外科医師として必要な手先の器用さを特訓してくれていたのではと思います。また、私が医師になること、そして病院を継ぐことを本当は望んでいたのだとも感じました。

患者の負担を軽減し、満足を提供できる診療を

クリニックの特徴をお聞かせください。

井上敬一郎院長 井上外科・内科3

医療機器を常に見直し、患者さんの負担を軽減できるものがあれば、積極的に導入するようにしています。例えば、内視鏡検査は苦手な方が非常に多い。内視鏡と聞くだけで難しい顔をされる患者さんもいらっしゃいますので、クリニックでは一般的な内視鏡に比べ、直径が約半分の経鼻内視鏡を使用しています。鼻から検査できるので、内視鏡が舌の根元にあたって生じる不快感がなく、これなら大丈夫という患者さんも多いですね。また、超音波骨折治療法という骨折の治りを飛躍的に向上させる治療法があるのを聞き、超音波骨治療器を導入しました。これらは特長といったほどのことではないですが、患者さんの負担を減らし、満足度の高い治療を行えるのでメリットを感じています。

肛門疾患のエキスパートでもあると伺いました。

肛門に関する症状の診療を行うのは消化器外科です。もともと、私は肝臓、胆のう、膵臓を専門とする外科医で、開院当初、腹部を開くような大掛かりな手術もしていました。しかし、町の病院ではリスクを拭いされない部分もあり、スタッフの労力も大きくなってしまう。そして何より患者さんにも負担がかかる可能性があるので、各病院と連携するようになりました。そして、クリニックの範囲で確実に行え、これまでの自分の技術を生かせる診療はないかと考え、一般外科・内科に加え消化器外科として痔の手術や治療を選んだというのがはじまりです。痔には「痔核」「痔ろう」「裂肛」と3種類の症状がありますが、来院される患者さんは痔核と痔ろうが多いでしょうか。中でも痔ろうは手術が必要な病態ですので、当院では当日帰宅できる日帰り手術をお勧めしています。また、重度の痔核についても、これまでは手術が必要でしたが、近年「ジオン注射療法」という治療法が開発されたことで、外来での治療のみで根治できるようになりました。簡単に説明すると患部に注射するだけなのですが、効果が非常に高く画期的な治療法です。注射をしている感覚はありますが、痛みもさほどなく、出血することもないので苦痛を伴うこともなく、当日で治療が完了します。デリケートな部分の症状ですので、患者さんの不安も大きいと思います。日帰り手術やジオン注射療法はじめ、手軽に安心して治療を受けられる診療態勢を心がけています。

痔以外で来院される患者さんはどのような方が多いですか?

井上敬一郎院長 井上外科・内科4

最近は腹痛や胃痛で来られる患者さんがとても多いと感じます。原因を診断してみれば、ストレスが起因している場合がほとんど。ストレス社会というのを痛感しますね。薬を処方して痛みを止めるのは簡単なことですが、こういった症状の場合、薬は患者さんにとっての根本的な治療にはなりません。精神的なケアも診療にかかせない時代になったと思います。よく、診察の時に私は患者さんと会話をするのですが、話だけでも症状が楽になったとおっしゃる患者さんもいます。

「ああ、先生に診てもらって良かった」という医師としての責任

患者さんからの信頼が厚い先生との評判を聞きました。

井上敬一郎院長 井上外科・内科5

そう言っていただけるのは嬉しいですね。常々、高い技術を提供する医師というよりも、親しみある医師でありたいと考えています。現代の医療はさまざまな症状に対して、高度な治療を行うことも手軽に行えるようになりました。しかし、先ほどお話ししたストレスの話ではないですが、木を見て森を見ずというように、症状だけを治療すればすべて完了となるものでもないと感じています。まずは医療技術を持った、いち人間として、患者さんに寄り添うことが大切だと考えます。今後、クリニックを大きくしたい、診療の幅を広げていきたいというよりも、患者さんと良い信頼関係を築くことができて、生活や健康のサポートができるよう、一日一日、私のベストを尽くしていきたいと思います。以前、大学病院で手術を担当した患者さんが、体調が悪くなった時など、何かある度にこちらに来院されていました。クリニックには大学病院のような設備はありませんから、大学病院へ行かれることをお勧めしたのですが、私に診察をしてもらいたいとおっしゃるのです。私を心から信頼くださっていて、思い出すと今でも、医師として誇らしい気分になります。ただ反面、信頼に応えていく責任感も強く感じていますね。

休日はどのようにリフレッシュされていますか。

特別これといってすることはないのですが、自宅で犬2匹と熱帯魚を飼っていて、犬と散歩したり、魚たちが泳ぐのを見るのがリフレッシュ法です。大抵の動物は好きですね。また、特に馬は大好きで、暇があれば千葉にある牧場へ行って世話をしています。今はもっぱら眺めるだけですが、若い頃は競技に夢中な時期もありました。娘も馬に乗っているので、最近は若い選手を育てるなど馬術連盟のお手伝いをしています。家族で共通の趣味を持てたことは幸せだと思っています。最近、牧場で子馬が生まれたのですが、これがまた愛らしくて、口笛を吹くとこちらに向かって駈けてきます。自分の子ども(孫)のように感じ癒されます(笑)。

最後に読者へメッセージをお願いします。

井上敬一郎院長 井上外科・内科6

患者さんとクリニックも人と人の付き合いです。現代はクリニックへ行く前に、治療法や設備、医師の経歴などさまざまな情報を比べられる時代ですが、それらの情報や評判にこだわるのではなく、実際に行ってみて相談しやすいとか、親身に話を聞いてくれるなど、相性が良い医師を探すことが大切だと思います。例えるなら、お見合いといったイメージかもしれません。やはり、プロフィールの情報だけでは分からない部分がありますから。また、一人の医師がなんでもできるわけではないので、その先生の得意な分野ではない場合でも、良いクリニックを紹介してくれるような医師と巡り会えればなお良いですね。

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