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佐々木 明彦 院長の独自取材記事

エンゼル歯科

(平塚市/平塚駅)

最終更新日:2023/08/23

佐々木明彦院長 エンゼル歯科 main

平塚駅西口から徒歩4分、1990年の開業から30年以上、「エンゼル歯科」は地域の子どもたちの診療を行ってきた。1984年に大学を卒業した院長の佐々木明彦先生は、当時はまだ珍しかった小児歯科専門の開業医のもとで臨床経験を積み、テクニックを研鑽。その診療スタイルは恩師から引き継がれたものだ。2023年には移転リニューアルを行い、同院は新たな歴史を刻んでいる。日本歯科専門医機構小児歯科専門医でもある佐々木院長に、同院の診療スタイルや今後の展望などを熱く語ってもらった。

(取材日2023年6月15日)

治療後の修復物脱落防止と痛みの軽減に配慮した診療

2023年に移転リニューアルされましたが、院内のこだわりについて聞かせてください。

佐々木明彦院長 エンゼル歯科1

移転前は今のクリニックから徒歩数分のビルの一角で診療を行っていました。ご縁があって今の場所に出合い、新しい環境でこれまで以上に質の高い小児歯科医療が提供できることへの魅力を感じ、移転を決意しました。設備も環境も新しくなりましたが、中でも一つ変化を挙げるなら待合室の海水魚水槽ですね。もともと海や魚、釣りが好きでお子さんと一緒に魚について学ぼうと設置しましたが、待ち時間にお子さんたちが釘付けになっている姿を見てうれしく思っています。一方で、クリニックの造り自体はあまり大きく変えませんでした。診察室を見て通常は歯科医院にあるはずのものがないと思いませんか? ユニットに、うがいに使うスピットン(うがい皿)がないんです。これはラバーダムの使用を前提とした設計です。薬品が倒れても安全な特注ワゴンは旧診療所から移設しました。

院内の造りは診療スタイルにも通じているそうですね。

スピットンを省いている理由はラバーダムという膜状の器材の使用によりうがいの必要性を極力なくしているからです。加えて、痛みを感じることが少ないように特有の方法で局所麻酔を多用します。これはかつてのアメリカの小児歯科のスタイルなんです。「虫歯の洪水」といわれたほど日本の子どもたちの間で虫歯がまん延した1970年代、全国の大学の歯学部に次々と小児歯科の研究室や診療室が開設され、それと同時期にハーバード大学フォーサイスデンタルセンターから小児歯科診療のノウハウを持ち帰り、鶴見大学の教授になられたのが故大森郁朗先生でした。私はその大森先生の研究室の中心メンバーで、その後開業された槙本光先生に師事して小児歯科臨床を学び、それを孫請けのように受け継いで実践しています。

ラバーダムを使用するメリットは何でしょう。

佐々木明彦院長 エンゼル歯科2

ラバーダムは、治療や処置をする歯を乾燥状態にすることで、修復物が取れたり歯の中に細菌が入ったりする原因となる唾液をシャットアウトすることにつなげられるので、修復物の脱落が少なく一度治療した歯の再感染リスクを下げられることが望める点がメリットかと思います。また、ラバーダムのおかげで薬剤や機械が粘膜に触れることもありません。当院には、市内だけでなく市外、県外からも患者さんがいらっしゃいます。中には海外に駐在している方が一時帰国された際に、お子さんを連れて来られることもあります。当院のホームページでどのような診療を行っているか調べた上で来てくださる方が多く、ラバーダムの使用を含め専門性の高い診療を提供できているのだろうと思いますね。特に低年齢児の重度虫歯の治療は、私のライフワークと考えているので、困った方々の助けになれればそれが一番うれしいです。

子どもの医療に対する意識を育てたい

大人と子どもの歯科診療にはどのような違いがあるのでしょうか。

佐々木明彦院長 エンゼル歯科3

お子さんの場合、歯の生え替わりや顎の発達など、成長過程を考慮して診療にあたらなければいけませんが、最も大きな違いはおおむね3歳半以下のお子さんは診療に協力してくれないということです。ですが当院では、院内におもちゃの電車を走らせたり、診察中でもアニメが観られたりという空間づくりをあえてしていません。それはここが医療機関だということをわかってもらうため。嫌なことはされず、ちょっと口の中を触ってもらい「ああ楽しかった」で終わったら、医療的な意識は育っていかないので、「ここは遊園地ではなく歯科医院なんだ」ということを少し意識してもらえるよう接しています。私たちが真剣に診療に取り組んでいる姿勢を見せることで、3歳半ぐらいのお子さんでも、自分が何のためにここにいるのか、何をやらなきゃいけないかがだんだんわかるようになるんです。

診療ポリシーは何ですか?

お子さんと接する部分では今申し上げたことですが、小児歯科は歯科医師一人では成り立たず、スタッフの力が大きいと感じています。私がお子さんに「ちゃんとやらないと治らないよ」と言うと、スタッフは「よく頑張ってるよね」とフォローする、そんな役割分担のような構図がありますね。今は難しい時代で、さまざまな家庭の事情があるため、お子さんの様子だけでなく保護者への気配りとサポートも大事です。歯科衛生士を中心としたスタッフは、私以上に全体を見渡して頑張ってくれています。頼りになる存在ですね。虫歯の状態が同じでも対応が同じでいいとは限らないため、診療のバリエーションの中からスタッフと相談して決めていき、お子さん本人や保護者の方のニーズに合わせた、きめ細かい対応を心がけています。

エンゼル歯科の特色について教えてください。

佐々木明彦院長 エンゼル歯科4

小児歯科専門の歯科医院であるということです。小児歯科を標榜している一般歯科医院をいくつも回って解決に至らなかったというケースが、実は少なくないんですね。私は歯科医師会の活動も積極的に行っていて、平塚エリアで歯科医師会に入っている先生方は私のことを知っているので、重症の虫歯のお子さんや病気や障がいのあるお子さんを紹介してくださるんです。しかし最近は歯科医師会に入会していない歯科医院も多く、地域内の医療連携が薄いことから小児歯科専門医への紹介を躊躇してしまい、問題解決できないまま患者さんの通院が続くという現象が全国で起きているようです。これは小児歯科医療の大きな課題だと思っています。

幅広い視野を持って地域の歯科医療に貢献したい

先生が小児歯科を志したのはどのようなきっかけですか?

佐々木明彦院長 エンゼル歯科5

大学卒業後、たまたま歯科医師を募集していた旧エンゼル歯科に採用していただいたのが小児歯科の世界に入ったきっかけです。小児歯科医になりたかったというより、歯科医院の雰囲気や院長の槙本先生のお人柄に惹かれたのが大きな理由でした。出身は東京ですが、もともとウインドサーフィンや釣りが好きで、神奈川県辺りで海の近くに住みたいとも考えていました。父も歯科医師だったのですが、小児歯科に進むことを反対しなかったのも後押しになりましたね。勤務して6年たった頃、平塚の責任者だった先生が退職されることになり、平塚分院の継続について話が出たのを機に譲っていただいたのが開業に至った経緯です。

今後のクリニックづくりについてはどうお考えですか?

これまで30年以上平塚の地で診療を行ってきて、当院には近隣のみならず遠方からも患者さんが来てくださるようになりました。移転してみて新たに来院される方も思った以上に多く、今後も信頼に応えながら診療を続けていきたいと思っています。重度の虫歯になってしまったお子さんでも、適切な治療を行い、その後も定期診査を繰り返しながら予防処置をして永久歯を健康に保つためのサポートに努めています。将来、お子さんが歯のことで悩んだり、歯の問題がその子の人生に影を落としたりすることのないようにと常に考えながら診療していますし、それは変わらない目標です。

地域医療においても展望をお聞かせください。

佐々木明彦院長 エンゼル歯科6

当院に通っていたお子さんが成長後に一般歯科に通うようになった時などは、そこの歯科医師がこれまでどこの小児歯科に通っていたのかを保護者の方に尋ね、当院に相談に来てくださったことも。そうして少しずつできつつある地域の歯科医院とのネットワークは、今後も大事にしていきたいです。最近は、歯科医師会に入っていない診療所とも、ご紹介いただいたり診療後にご報告をすることで徐々に連携が取れてきました。SNSを通じて知り合った歯科医師と連携したケースもあります。小児科の先生方や行政との連携はおおむね取れているので、今後は同じ地域で開業あるいは勤務している歯科医師との連携を深めながら、地域歯科医療や歯科保健の向上に広い視野で取り組んでいけたらと思っています。

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